レンヌ美術館 コレクション ロココから印象派 抽象主義まで コロー シスレー クプカなど

レンヌ美術館 パリから日帰り旅行
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今回はレンヌ美術館コレクションの第2弾

ロココから抽象主義までをご紹介させて頂きます。

この時期になると徐々にキリスト教芸術から離れて、風景画へと移行して行きます。

日本でも最も馴染み深い画家が多いのも特徴です。

見たままで楽しめる作品が多いので、ぜひお気に入りの1枚を見つけてみてくださいね。

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Jean Siméon Chardin (1699-1779)

ジャン・シメオン・シャルダンは、18世紀フランスの画家です。

王立絵画彫刻アカデミーに入会後、彼は静物画で頭角を現し、特にオランダの巨匠たちから影響を受けました。

彼の作風は、華やかなロココ様式が全盛だった時代に、敢えて日常的な題材を選び、深い洞察力と繊細な筆致で描いたことです。

Pêches et raisins

Pêches et raisins (1759)

Pêches et raisins (桃とぶどう)は、テーブルの上に置かれた桃とぶどうを描いた、シンプルな静物画です。ごく普通の日常的な果物が、シャルダンの繊細な筆致と、温かみのある光によって、まるで生きているかのように生き生きと描かれています。

Le panier de prunes

Le panier de prunes (1759)

Le panier de prunes (プラムの籠)は、テーブルの上に置かれた小さな籠に盛られたプラムを描いた、静物画です。プラムの紫色の実と、籠の質感が、ごく自然な筆致で丁寧に描き込まれています。この作品は、先ほどご紹介した『桃とぶどう』と対をなすものとされています。

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Charles-Joseph Natoire (1700-1777)

シャルル=ジョゼフ・ナトワールは、18世紀フランスの画家です。彼は、ルイ・ガロシュやフランソワ・ルモワーヌに師事し、ルモワーヌの助手としてヴェルサイユ宮殿の装飾にも携わりました。ローマ賞を受賞してイタリアに留学し、ルネサンスやバロックの巨匠たちから影響を受けました。

彼の作風は、師であるルモワーヌから継承した優雅で官能的なロココ様式が特徴です。明るく柔らかな色彩、軽快で流れるような筆致、そして楽しげな雰囲気が彼の作品に満ちています。特に、神話の物語を、官能的で牧歌的な場面として描くことに長けていました。

La prédication de Saint Etienne

La prédication de Saint Etienne (1745)

La prédication de Saint Etienne (聖エティエンヌの説教)は、キリスト教の最初の殉教者である聖エティエンヌ(ステファノ)が、エルサレムで説教を行っている場面を描いています。群衆が彼の言葉に耳を傾ける中、彼の背後には、彼を迫害し、後に石打ちの刑にする人々が描かれており、物語の劇的な結末を暗示しています。

Francesco Casanova (1727-1803)

フランチェスコ・カサノヴァは、18世紀後半にヨーロッパで活躍したイタリアの画家です。兄は、有名な冒険家で作家のジャコモ・カサノヴァです。彼はヴェネツィアで風景画家のフランチェスコ・グアルディに学び、その後パリで画業を確立しました。

Rupture d'un Pont de Bois

Rupture d’un Pont de Bois (1775)

Rupture d’un Pont de Bois (木造橋の崩壊)は、木造の橋が崩壊し、兵士や馬、人々が濁流に飲み込まれていくという、劇的で混沌とした場面を描いています。カサノヴァが得意とした戦闘場面や災害の情景を描いた作品で、画面全体に緊迫感と悲劇的な雰囲気が満ちています。

Attaque de voleurs

Attaque de voleurs(1777)

Attaque de voleurs(盗賊の襲撃)は、山道で旅人たちが盗賊に襲われるという、劇的で暴力的な場面を描いています。

Scène d'ouragan

Scène d’ouragan

Scène d’ouragan(ハリケーンの場面)は、激しい嵐の中、荒れ狂う海で難破寸前の船を描いた、劇的で混沌とした場面です。

Voyageurs Surpris par un Orage

Voyageurs Surpris par un Orage (1775)

Voyageurs Surpris par un Orage (嵐に驚く旅人たち)は、突然の嵐に遭遇し、驚き恐れる旅人たちを描いた、劇的な風景画です。荒れ狂う空と、吹き荒れる風に翻弄される人々の姿が、カサノヴァならではのダイナミックな筆致で表現されています。

François-André Vincent (1746-1816)

フランソワ=アンドレ・ヴァンサンは、18世紀後半から19世紀初頭にかけてフランスで活躍した画家です。新古典主義の代表的な画家の一人であり、ジャック=ルイ・ダヴィッドとライバル関係にありました。

彼は、父フランソワ・エリー・ヴァンサンから絵画を学んだ後、王立絵画彫刻アカデミーで学びました。1768年にローマ賞を受賞してイタリアに留学し、古代美術やラファエロ、カラヴァッジョなどから深く影響を受けました。

彼の作風は、厳格なデッサン、明快な構成、そして道徳的な物語性が特徴です。ダヴィッドと同様に、歴史画の分野で新古典主義を確立し、フランス革命の理想を反映した英雄的なテーマを好んで描きました。

L'Enlèvement d'Orythie (1783)

L’Enlèvement d’Orythie (1783)

L’Enlèvement d’Orythie (オレイテュイアの略奪)は、ギリシア神話に登場する物語を描いています。北風の神ボレアスが、アテナイ王エレクテウスの娘オレイテュイアに恋をし、彼女を略奪する場面です。ボレアスがオレイテュイアを強引に連れ去ろうとする劇的な瞬間が、力強く描かれています。

Jean-Baptiste Camille Corot (1796-1875)

ジャン=バティスト・カミーユ・コローは、19世紀フランスの画家で、バルビゾン派を代表する風景画家です。古典的な構成と、光と色彩の繊細な表現を融合させ、印象派の画家たちに大きな影響を与えました。

Le Passage du gué, le soir

Le Passage du gué, le soir (1868)

Le Passage du gué, le soir (浅瀬を渡る、夕暮れ)は、夕暮れの穏やかな風景を描いています。画面には、木立の間に広がる浅瀬を渡る馬車と、そのそばを歩く人々が描かれています。コローが得意とした、牧歌的で詩的な雰囲気が漂う傑作です。

Octave Penguilly L’Haridon (1811-1870)

オクターヴ・パンギユイ・ラリドンは、19世紀フランスの画家で、特に故郷であるブルターニュ地方の風景や神話、歴史を題材とした作品で知られています。彼は軍人(砲兵士官)としてのキャリアを持ちながら画家としても活躍した、異色の経歴の持ち主です。

Les Petites mouettes, rivage de Belle-Isle-en-Mer, Port-Donan

Les Petites mouettes, rivage de Belle-Isle-en-Mer, Port-Donan (1858)

「小さなカモメ、ベル=イル=アン=メールの海岸、ポル=ドナン」は、ブルターニュ地方にあるベル=イル=アン=メール島のポル=ドナン海岸を描いた風景画です。荒々しい岩礁と、そこに波が打ち寄せる様子、そして岩の上を飛び交うカモメたちが、リアリスティックに描写されています。

Louis Devedeux (1820-1874)

ルイ・デヴデューは、19世紀フランスの画家で、特に東洋を題材としたオリエンタリズム絵画で知られています。

彼の作風は、当時のヨーロッパで流行していたオリエンタリズム(東洋趣味)に特徴づけられます。トルコ、アルジェリア、エジプトといった北アフリカや中東の異国的な情景、人物、風俗を、ロマンティックでドラマティックな雰囲気で描きました。作品は、鮮やかな色彩、異国の衣装、そして光と影の強いコントラストが特徴です。

Le marchand d'esclaves (Asie Mineure)

Le marchand d’esclaves (Asie Mineure) (1867)

「奴隷商人(小アジア)」は、19世紀のオリエンタリズム絵画に典型的な主題で、小アジアの市場で奴隷が売買されている場面を描いています。鎖につながれた若い女性たちや、それを品定めする商人たちの姿が、異国情緒あふれる雰囲気の中で描かれています。

Felix Jobbé-Duval (1821-1889)

フェリックス・ジョベ=デュヴァルは、19世紀フランスの画家です。特に、故郷であるブルターニュ地方の歴史や風俗を題材とした作品で知られています。彼は、ブルターニュの伝統や文化を記録することに情熱を注ぎました。

こちらの作品はGoogleのポリシー違反に該当する可能性があるため掲載を控えさせて頂いております。

La Fiancée de Corinthe (1852)

La Fiancée de Corinthe (コリンティアの花嫁)は、ドイツの文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテのバラード「コリンティアの花嫁」を題材としています。この物語は、死んだ花嫁が夜な夜な墓から蘇り、生前の許婚を訪れるという悲劇的なゴーストストーリーです。作品は、墓から戻った花嫁が、許婚の若者と再会する劇的な場面を描いています。

André Charles Voillemot (1823-1893)

アンドレ・シャルル・ヴォワルモは、19世紀フランスの画家です。彼は、エコール・デ・ボザールで学び、フランソワ・ピコに師事しました。その後、東洋を旅し、アルジェリアやモロッコ、オスマン帝国の文化や風俗に深く影響を受けました。

こちらの作品はGoogleのポリシー違反に該当する可能性があるため掲載を控えさせて頂いております。

Velléda (1869)

Velléda (ヴェレダ)は、古代ゲルマン民族の予言者であり、巫女であったヴェレダを題材としています。彼女は、フランスの作家シャトーブリアンの小説『殉教者たち』にも登場する、ロマンティックなヒロインです。作品は、自然の中で孤独に佇むヴェレダの、神秘的で感傷的な姿を描いています。

Eugène Boudin (1824-1898)

ウジェーヌ・ブーダンは、19世紀フランスの画家で、特に海や海岸の風景を描いた「海の画家」(マリニスト)として知られています。印象派の先駆者の一人であり、屋外で絵を描く「外光派」(en plein air)の重要性を説き、特に若き日のクロード・モネに大きな影響を与えました。

Trouville, les jetées marée haute (1885)

Trouville, les jetées marée haute (1885) 上段

Cour de ferme  (18891890) 下段

Trouville, les jetées marée haute (トルーヴィル、満潮時の桟橋) は、ノルマンディー地方にある高級リゾート地トルーヴィルの桟橋を、満潮時に描いたものです。荒れた海と空が中心的なモチーフとなっており、桟橋に立つ人々の姿や停泊する船が、光と大気の変化の中に描かれています。

Cour de ferme (農場の庭) は、海辺の風景で知られるブーダンには珍しく、農場の庭を描いた作品です。家畜や農民の姿が、穏やかで柔らかな光の中に描かれており、彼の他の作品とは異なる、田園の日常的な雰囲気が感じられます。

Louis-Marie Baader (1828-1920)

ルイ=マリー・バーダーは、19世紀フランスの画家です。彼は、パリのエコール・デ・ボザールで学び、アレクサンドル・カバネルに師事しました。

彼の作風は、アカデミズムの確かな技術と、ロマン主義的な感性が融合したものです。オリエンタリズム絵画では、北アフリカや中東のエキゾチックな光景、人物、風俗を、繊細な色彩で詩的に描きました。また、歴史画では、古代ローマの退廃的な場面や、劇的な物語を、アカデミックな様式で表現しました。

L'Heure du goûter dit aussi Bretonne racontant une histoire à son enfant

L’Heure du goûter dit aussi Bretonne racontant une histoire à son enfant

『おやつの時間、またの名を、ブルターニュの女性が子供に物語を語る』は、ブルターニュ地方の伝統的な衣装を身につけた母親が、子供におやつを与えながら物語を語るという、心温まる家庭の情景を描いています。バーダーの得意とするオリエンタリズム絵画とは異なり、故郷フランスの風俗を、愛情深く、細やかに表現した作品です。

Ferdinand Chaigneau (1830-1906)

フェルディナン・シェニョーは、19世紀フランスの画家です。彼は、パリのエコール・デ・ボザールでレオン・コニエに師事しました。その後、バルビゾンに定住し、テオドール・ルソーやジャン=フランソワ・ミレーといったバルビゾン派の画家たちと交流を深めました。

Décembre

Décembre

Décembre(12月)は、寒々とした冬の風景を描いています。雪が積もった牧草地で、羊の群れが風に吹かれながら草を食んでいる様子が描かれており、冬の厳しい自然と、そこで生きる羊たちの姿が表現されています。

Alfred Sisley (1839-1899)

アルフレッド・シスレーは、19世紀フランスの印象派の画家です。イギリス人の両親のもとパリで生まれ、生涯のほとんどをフランスで過ごしましたが、国籍はイギリスでした。特に風景画の分野で、穏やかで詩的な作風を確立し、印象派の中でも「最も教科書的で典型的な画家」と評されています。

Paysage de la vallée de la Seine

Paysage de la vallée de la Seine (1875)

Paysage de la vallée de la Seine (セーヌ渓谷の風景)は、パリ郊外のルーヴシエンヌの丘からセーヌ川の渓谷を見下ろした景色を描いたものです。広がる風景と、穏やかに流れるセーヌ川が、シスレー特有の柔らかな筆致で表現されています。

Odilon Redon (1840-1916)

オディロン・ルドンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてフランスで活躍した画家、版画家です。象徴主義を代表する芸術家の一人で、夢や幻想の世界を内面から描き出す、独特の画風を確立しました。

彼は、生涯を通して孤独を好み、内面世界を探求しました。初期の作品は、炭や石版画による「黒」の世界で、不気味で幻想的なイメージを表現しました。これは、彼の内面の不安や、当時の社会に対する違和感を反映したものです。

晩年になると、パステルや油彩画を手掛け、一転して色彩豊かな幻想的な世界を描くようになります。花や神話的な人物、異世界の風景などが、鮮やかな色彩で夢のように描かれました。

Le Regard

Le Regard (1900)

Le Regard (まなざし)は、神秘的で夢見るような表情を浮かべた、一人の女性の肖像画です。モデルは、ルドンの友人であったピアニストのマルセル・ギニャールだとされています。ルドンは、彼女の鋭い知性と内面の豊かさを、力強いまなざしを通して表現しました。

Luc-Olivier Merson (1846-1920)

リュック=オリヴィエ・メルソンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてフランスで活躍した画家、イラストレーターです。

彼は、パリのエコール・デ・ボザールでアカデミズムの技術を習得しました。1869年にはローマ賞を受賞し、イタリアに留学して、古典的な様式を深く学びました。

彼の作風は、アカデミズムの確かなデッサン力と、ロマン主義的な感傷性、そして象徴主義的な神秘性が融合したものです。中世や古代の歴史、キリスト教の物語を題材にした作品を多く手掛け、幻想的な雰囲気と繊細な光の表現が特徴です。

サクレクール寺院のフレスコ画を描いたことでも有名です。

L'ange gardien 1881

L’ange gardien (1881)

L’ange gardien (守護天使)は、眠っている幼い子供を、背後に立つ守護天使が優しく見守っている場面を描いています。聖母子像を思わせる温かさと、子供の無垢な姿が、見る者に安らぎと保護されている感覚を与えます。メルソンが得意とした、宗教的で象徴的な主題の作品です。

Louis Henri Saintin (1846-1899)

ルイ・アンリ・サンタンは、19世紀フランスの画家で、特に海岸の風景画で知られています。彼は、エコール・デ・ボザールで画家のエミール・レヴィに師事しました。

彼の作風は、写実主義的な風景描写に、光と色彩の繊細な表現が加わったものです。

L'Anse d'Erquy

L’Anse d’Erquy (1876)

L’Anse d’Erquy (エルキ湾)は、ブルターニュ地方のコート=ダルモール県にあるエルキ湾の穏やかな風景を描いたものです。画面には、海に面した岩がちな海岸線と、小さな船、そして遠くの水平線が、静かで詩的な雰囲気で描かれています。

Gustave Caillebotte (1848-1894)

ギュスターヴ・カイユボットは、19世紀フランスの印象派の画家です。裕福な家庭に育ち、画家として活躍する一方で、印象派の画家たちを経済的に支え、彼らの作品を収集した重要なパトロンとしても知られています。

Le Pont de l'Europe

Le Pont de l’Europe (1876)

Le Pont de l’Europe (ヨーロッパ橋)は、パリのサン・ラザール駅につながる線路の上に架けられたヨーロッパ橋を描いたものです。画面には、当時流行の最新ファッションを身につけた人々が、橋の上を行き交う様子が、独特の構図で描かれています。

なお、この作品は、同じ構図で数点描かれていて、完成品はスイスジュネーブのプティパレ美術館が所有しています。レンヌ美術館に展示されている作品は、油彩の習作(スケッチ)になります。完成品には犬が描かれています。

但し、スイスのプティパレ美術館は現在一般開放していないようです。

Paul Gauguin (1848-1903)

ポール・ゴーギャンは、後期印象派を代表するフランスの画家です。元々は株式仲買人でしたが、35歳で安定した生活を捨て、画家としての道を歩み始めました。自然をそのまま描く印象派から脱却し、感情や思想を表現する象徴主義の旗手として活躍しました。

Nature morte aux oranges

Nature morte aux oranges (1880) 上段

Vase de fleurs (1880) 下段

Nature morte aux oranges (オレンジのある静物) は、株式仲買人として働きながら、本格的に絵画の道を歩み始めたばかりの、ゴーギャンの初期の作品であり、彼の後の作風とは大きく異なります。

Vase de fleurs (花瓶の花) は、『オレンジのある静物』と同様に、画家として本格的に活動を始めたばかりの、ゴーギャンの初期の作品であり、印象派の影響が強く見られます。

Édouard Toudouze (1848-1907)

エドゥアール・トゥドゥーズは、19世紀フランスの画家です。歴史画や風俗画、肖像画を専門とし、アカデミズムの伝統に忠実な、写実的で精緻な描写で知られています。

La mort de Du Guesclin

La mort de Du Guesclin (1903)

La mort de Du Guesclin (デュ・ゲクランの死)は、14世紀の百年戦争で活躍したブルターニュ出身の英雄、ベルトラン・デュ・ゲクランの死を描いた歴史画です。彼は病で死の床につきますが、降伏した城の鍵を、約束通り彼の遺体の上に置かせるという、英雄の最期の誇り高い姿が描かれています。

Le Mariage d'Anne de Bretagne

Le Mariage d’Anne de Bretagne (1900)

Le Mariage d’Anne de Bretagne (ブルターニュ公妃アンヌの結婚)は、ブルターニュ公国の最後の君主であるアンヌ・ド・ブルターニュが、フランス王シャルル8世と結婚する様子を描いています。この結婚は、ブルターニュがフランスに併合されるきっかけとなった歴史的出来事であり、フランス史、特にブルターニュの歴史において非常に重要な意味を持ちます。

Jean-François Raffaëlli (1850-1924)

ジャン=フランソワ・ラファエリは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてフランスで活躍した画家、彫刻家、版画家です。印象派の画家たちと交流があり、特にパリ郊外や貧しい人々の生活を題材とした自然主義的な作風で知られています。

La Bretagne

La Bretagne (1909)

La Bretagne (ブルターニュ)は、ブルターニュ地方の、岩がちで荒涼とした海岸線を描いたものです。ラファエリは、この作品を通じて、厳しい自然環境とそこに生きる人々の静かな生活を、独自の感性で表現しています。

Lovell Birge Harrison (1854-1929)

ラヴェル・バージ・ハリソンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したアメリカの風景画家です。彼の兄トーマス・アレクサンダー・ハリソンと同様に、フランスで美術を学び、トーン・ペインティングの代表的な画家として知られています。

November1881

November (1881)

November (11月)は、冬の訪れを感じさせる11月の森の中を描いています。地面には枯葉が積もり、木々の間からは夕暮れか朝靄のような柔らかな光が差し込んでいます。

Władysław Ślewiński (1856-1918)

ヴワディスワフ・スレヴィンスキーは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したポーランドの画家です。フランスでポール・ゴーギャンと出会い、ブルターニュのポン=タヴァンで制作活動を行うなど、後期印象派や象徴主義の影響を強く受けました。

Marine au rocher rouge

Marine au rocher rouge

Marine au rocher rouge(赤い岩の海景)は、ブルターニュの荒々しい海岸に立つ、象徴的な赤い岩と、広大な海を描いたものです。ゴーギャンから影響を受けたスレヴィンスキーの、静かで内省的な作風をよく示しています。

Emmanuel de La Villéon (1858-1944)

エマニュエル・ド・ラ・ヴィヨンは、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したフランスの画家です。ポスト印象派に属し、特に色彩と光を大胆に用いた、個人的な表現で知られています。

Le père Thureau

Le père Thureau (1892)

Le père Thureau (テュロー爺さん)は、画家が親交のあったサン=ジェルマン=デ=プレの住人、テュロー爺さんの肖像画です。彼は、ラ・ヴィヨンにとって、パリで出会った特別な人物の一人でした。この作品は、その人物の個性と尊厳を、率直で心温まる眼差しで捉えています。

Édouard Charles Hulton (1858-1935)

エドゥアール・シャルル・ユルトンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの画家です。ブルターニュ地方に深く根ざした画家として、その地の風景や農村の生活を、写実的でありながら詩的な感性で描き続けました。

Le Musée de Rennes

Le Musée de Rennes (1900)

Le Musée de Rennes (レンヌ美術館)は、レンヌ美術館の広々とした展示室が静まり返っている様子を描いています。高い天井の部屋に、壁に掛けられた絵画や彫刻が展示され、光が差し込む静謐な空間が表現されています。

Charles Cottet (1863-1925)

シャルル・コッテは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの画家です。ブルターニュ地方の厳しい自然や、漁師たちの生活を主題とした社会写実主義の作品で知られています。

1900年の万国博覧会で金メダルを受賞しています。

Femmes de Plougastel au pardon de Sainte-Anne-la-Palud

Femmes de Plougastel au pardon de Sainte-Anne-la-Palud (1903)

『サント=アンヌ=ラ=パリュの祝祭(パルドン)に集うプロガステルの女性たち』は、ブルターニュ地方の宗教的な祝祭「パルドン」において、伝統的な衣装を身につけたプロガステル出身の女性たちが、野外で食事をするひとときを描いています。これは、祝祭の重要な一部である、共同体での食事の様子を捉えたものです。

Orage en mer,Bretagne

Orage en mer,Bretagne

Orage en mer,Bretagne(海の嵐、ブルターニュ)は、ブルターニュの荒々しい海に突如として現れた嵐の瞬間を描いています。暗い空と荒れ狂う波が、画面全体に緊張感と迫力を生み出しており、コッテがブルターニュの自然の厳しさを主題としていたことを示す代表的な作品です。

Paul Sérusier (1864-1927)

ポール・セリュジエは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの画家です。ポール・ゴーギャンの影響を強く受け、ナビ派の中心人物として、印象派とは異なる新しい絵画の道を切り開きました。

Solitude

Solitude (1890-92)

Solitude (孤独)は、ブルターニュの伝統的な衣装を身につけた女性が、森の中に腰掛け、憂鬱そうな表情で鑑賞者の方を向いている様子を描いています。タイトルの「孤独」という感情が、彼女の表情と周囲の静けさによって強調されています。

Le Cylindre d’Or

Le Cylindre d’Or (1910)

Le Cylindre d’Or (黄金の円柱)は、黄金色の円柱を中央に配し、背景に抽象化された風景を描いた作品です。この作品は、具体的な物体を描写することよりも、色彩と形態の関係性という、絵画の根源的な原理を探求したものです。

Paul Ranson (1864-1909)

ポール・ランソンは、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの画家、版画家です。ポール・セリュジエらとともにナビ派を結成し、その中核メンバーとして活動しました。

彼はパリのアカデミー・ジュリアンで学び、そこでモーリス・ドニやポール・セリュジエと出会い、ナビ派の中心メンバーとなります。彼の家は、ナビ派の画家たちの集会所となり、彼らの思想形成に重要な役割を果たしました。

ランソンはゴーギャンの直接の弟子ではありませんでしたが、ゴーギャンの思想を最も熱心に受け入れ、それをナビ派という新しい芸術運動の基盤とした、重要な存在だったと言えます。

La cueillette des pommes (1895)

La cueillette des pommes (1895)

La cueillette des pommes (りんごの収穫)は、ブルターニュの農村で行われるりんごの収穫の様子を、装飾的で詩的なスタイルで描いています。女性たちがかごにりんごを入れる姿が、画面全体に流れる穏やかなリズムとともに表現されています。

Émile Bernard (1868-1941)

エミール・ベルナールは、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したフランスの画家、作家です。ポスト印象派を代表する画家の一人で、ポール・ゴーギャンとともにクロワゾニスムや総合主義(サンテティスム)という新しい絵画様式を確立しました。

クロワゾニスム: 19世紀のステンドグラスや七宝焼き(クロワゾンネ)から着想を得た技法です。太く暗い輪郭線で色面を区切り、単純で平坦な色彩を用いることで、強い装飾的な効果を生み出しました。

総合主義: 現実の自然の模倣ではなく、画家自身の感情や思想、記憶を総合し、画面に表現しようとする思想です。ゴーギャンとベルナールが、ポン=タヴァンで共に発展させました。

 L'arbre jaune

 L’arbre jaune (1888)

L’arbre jaune (黄色い木)は、ブルターニュのポン=タヴァンで、ベルナールがポール・ゴーギャンと共同で制作活動を行っていた時期に描かれたものです。画面中央に立つ一本の黄色い木が、非常に象徴的に描かれています。

Georges Lacombe (1868-1916)

ジョルジュ・ラコンブは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの彫刻家、画家です。ポール・ゴーギャンの思想に影響を受け、ナビ派の一員として活動しました。特に、彫刻作品で知られており、「ナビ派の彫刻家」(Le Nabi sculpteur)として名を馳せました。

彼は、パリのアカデミー・ジュリアンで学びました。1892年にエミール・ベルナールやポール・セリュジエと出会い、彼らとともにナビ派に参加しました。彼は他のナビ派の画家たちと同様に、ブルターニュ地方で多くの時間を過ごし、その風土からインスピレーションを得ました。

Marine bleue, Effet de vague (1893)

Marine bleue, Effet de vague (1893)

Marine bleue, Effet de vague (青い海、波の効果)は、ブルターニュの海辺で砕け散る波の様子を、装飾的で象徴的なスタイルで描いています。ナビ派の画家であったラコンブが、風景を写実的にではなく、その精神性や本質を表現しようとした、彼の思想をよく示す作品です。

Maurice Denis (1870-1943)

モーリス・ドニは、19世紀後半から20世紀半ばにかけて活躍したフランスの画家、美術理論家です。ポール・セリュジエらとともにナビ派を結成し、その理論的リーダーとして重要な役割を果たしました。

彼はパリのエコール・デ・ボザールとアカデミー・ジュリアンで学び、ポール・セリュジエと出会いました。

彼の芸術観は、1888年にゴーギャンからセリュジエが伝えた新しい思想によって形成されました。ドニは、ナビ派の「預言者」の一人として、美術の理論化に尽力しました。

  • 「絵画とは、戦馬、裸婦、あるいは何らかの逸話である以前に、ある秩序をもって集められた色彩で覆われた平坦な表面である」: これは彼の最も有名な言葉で、絵画の本質が主題ではなく、色彩と形態の調和にあるという、ナビ派の核心的な思想を簡潔に示しています。
Maternité aux manchettes de dentelle

Maternité aux manchettes de dentelle (1895) 上段

Brûleuses de goémon (1890) 下段

Maternité aux manchettes de dentelle (レースのカフスをつけた母性) は、画家の妻であるマルタと、彼らの最初の娘であるノエルを描いた肖像画です。レースのカフスをつけたマルタが、娘を抱きかかえ、優しいまなざしを向けています。ドニの作品の中でも、特に個人的な幸福と宗教的な静謐さが融合した、彼の信仰心と家庭生活を象徴する作品です。

Brûleuses de goémon (海藻を燃やす女たち)は、海藻を燃やして灰(ヨウ素の原料)を作る作業に従事する女性たちを描いています。激しい風が吹き荒れる中で、彼女たちが力強く働く姿が表現されています。

Le Yacht échoué à Trégastel

Le Yacht échoué à Trégastel (1938)

Le Yacht échoué à Trégastel (トレガステルに座礁したヨット)は、ブルターニュ地方の海岸にあるトレガステルの浜辺に、座礁したヨットを描いた風景画です。

Les Premiers Pas

Les Premiers Pas (1911)

Les Premiers Pas (初めての一歩)は、画家の妻マルタが、幼い子供が初めての一歩を踏み出すのを優しく見守り、支えている様子を描いています。ドニの作品の中でも、家庭内のささやかな幸福と、そこに宿る普遍的な愛をテーマとした、彼の画業を象徴する作品です。

František Kupka (1871-1957)

フランチシェク・クプカは、19世紀後半から20世紀半ばにかけて活躍したチェコの画家、版画家です。抽象絵画の創始者の一人として知られ、ワシリー・カンディンスキーやピエト・モンドリアンとともに、具象から完全に独立した新しい絵画様式を切り開きました。本人は主義に囚われることを好んでいませんでした。

Verticales et diagonales en vert

Verticales et diagonales en vert (1926)

Verticales et diagonales en vert (緑の垂直線と対角線)は、クプカが探求した純粋な抽象絵画の代表作の一つです。作品の題名が示す通り、画面は緑色を基調とした垂直線と対角線が織りなす幾何学的な構成によって成り立っており、具体的な対象物は一切描かれていません。

bleus mouvants

Bleus mouvants (1923-24)

Bleus mouvants (動く青)は、青色を基調とした、曲線や渦巻きのような形がダイナミックに配置された抽象作品です。クプカが探求した、色彩と動きの純粋な表現を象徴する作品であり、画面全体に流れるようなリズムと生命感が特徴です。

Edgard Maxence (1871-1954)

エドガー・マクサンスは、19世紀後半から20世紀半ばにかけて活躍したフランスの画家です。アカデミックな写実主義と象徴主義の精神を融合させた、独自の神秘的な画風で知られています。

彼は、パリのエコール・デ・ボザールでギュスターヴ・モローに師事しました。師の影響と、当時の象徴主義運動への傾倒から、彼は幻想的で内省的な世界を描くようになりました。

La légende bretonne

La légende bretonne  (1906)

La légende bretonne (ブルターニュの伝説)は、マクサンスが得意とした神秘的なテーマを、ブルターニュの伝承に求めたものです。作品は、伝統的な衣装を身につけた若い女性が、神秘的な雰囲気の中で物思いにふけっている様子を描いており、ブルターニュの神話や伝説の物語性を感じさせます。

Georges Rouault (1871-1958)

ジョルジュ・ルオーは、20世紀初頭に活躍したフランスの画家です。フォーヴィスムや表現主義の流れを汲みながら、中世のステンドグラスを思わせる独特の技法で、道化師、娼婦、キリストといったテーマを描き続けました。

キャリアの初期にはステンドグラス職人のもとで修業を積み、その後ギュスターヴ・モローのアトリエに入門。そこでアンリ・マティスらと出会いました。

Homo homini lupus

Homo homini lupus (1940-45)

Homo homini lupus (人間は人間にとって狼)は、第二次世界大戦中に制作されたもので、ルオーの人間に対する深い洞察と絶望感が表現された三連祭壇画(トリプティク)です。タイトルのラテン語「Homo homini lupus」は、「人間は人間にとって狼である」という意味を持ち、人間性の暗黒面を鋭く批判しています。

Jean-Bertrand Pégot-Ogier (1877-1915)

ジャン=ベルトラン・ペゴ=オジエは、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの画家です。ブルターニュ地方の画家として知られ、後期印象派やポン=タヴェン派の影響を受けながら、独自の様式でブルターニュの風景や人々の生活を描きました。

自転車競技にも参加するサイクリストでした。

Matin de Pardon

Matin de Pardon (1913)

Matin de Pardon (パルドンの朝)は、ルターニュ地方で毎年行われる宗教的な祝祭「パルドン」の、儀式が始まる前の静かな朝の様子を描いています。伝統的な衣装を身につけた人々が、祈りを捧げるために集まる、厳粛な雰囲気が漂っています。

Femmes dans un paysage de Bretagne

Fermes dans un paysage de Bretagne (1910)

Fermes dans un paysage de Bretagne (ブルターニュの風景の中の農家)は、ブルターニュの穏やかな丘陵地帯に点在する農家や家々を描いています。ペゴ=オジエは、故郷の風景を、独自の個性的なスタイルで表現しました。この作品には、農家と自然が一体となった、ブルターニュののどかな田園風景が描かれています。

Raoul Dufy (1877-1953)

ラウル・デュフィは、20世紀に活躍したフランスの画家、デザイナーです。キャリアの初期には印象派の影響を受けましたが、1905年の「サロン・ドートンヌ」でアンリ・マティスの作品に衝撃を受け、鮮烈な色彩を用いるフォーヴィスムに傾倒しました。

Voiliers dans le port du Havre.

Voiliers dans le port du Havre (1925)

Voiliers dans le port du Havre (ル・アーヴルの港のヨット)は、デュフィの故郷であるル・アーヴルの港の賑やかな情景を描いています。港に停泊するたくさんのヨットや、活気あふれる水面の様子が、デュフィ独特の軽快なタッチで表現されています。

Vase aux bananes

Vase aux bananes (1909)

Vase aux bananes (バナナのある花瓶)は、デュフィの画業において重要な転換期に制作された静物画です。花瓶に挿された花と、その横に置かれたバナナが描かれています。この作品は、彼が鮮烈な色彩を用いるフォーヴィスムの影響を受けつつ、独自のスタイルを模索していた時期のものです。

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まとめ

いかがでしたか。

作品も分かりやすいものが多く、見たままに楽しめるのが何よりの魅力だと思います。

西洋絵画史的には、印象派の前後の時期は、光をどう捉えていくのかと言うのが一つのテーマになっているので、そう言った視点から眺めてみるとより楽しむことが出来るのではないでしょうか。

また最後の方にご紹介させて頂いた画家の作品は、少しずつ抽象化していっています。

だんだん分かりにくくなって行きますが、ぜひ次回もお付き合い頂けますようお願いいたします。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。

なお、レンヌ美術館の詳細、他のコレクションについてはこちらで詳しくご紹介させて頂いております。

合わせてご覧になってみてください。

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