レンヌ美術館の印象派名画8選|シスレー、カイユボット、ゴーギャンの隠れた傑作を現地レポート

レンヌ美術館コレクション 印象派 ポスト印象派 パリから日帰り旅行
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レンヌ美術館は、シスレーの詩的な風景画からカイユボットの都市生活の描写、そしてゴーギャンの初期作品まで、印象派とポスト印象派の名作が静かに輝く、知る人ぞ知る芸術の宝庫です。特に注目すべきは、ブルターニュ地方にゆかりの深い画家たちの作品群。この地の厳しく美しい自然が、いかに芸術家たちの心を捉え、創造力を刺激したかを物語っています。

今回は、実際に現地を訪れて撮影した写真とともに、レンヌ美術館が誇る印象派コレクションの魅力を余すことなくお伝えします。ルーヴル美術館やオルセー美術館とは一味違う、静寂に包まれた空間で出会う名画たちの感動を、ぜひ共有させてください。

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Alfred Sisley (1839-1899)

アルフレッド・シスレーは、19世紀フランスの印象派の画家です。イギリス人の両親のもとパリで生まれ、生涯のほとんどをフランスで過ごしましたが、国籍はイギリスでした。特に風景画の分野で、穏やかで詩的な作風を確立し、印象派の中でも「最も教科書的で典型的な画家」と評されています。

Paysage de la vallée de la Seine

Paysage de la vallée de la Seine (1875)

Paysage de la vallée de la Seine (セーヌ渓谷の風景)は、パリ郊外のルーヴシエンヌの丘からセーヌ川の渓谷を見下ろした景色を描いたものです。広がる風景と、穏やかに流れるセーヌ川が、シスレー特有の柔らかな筆致で表現されています。

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Gustave Caillebotte (1848-1894)

ギュスターヴ・カイユボットは、19世紀フランスの印象派の画家です。裕福な家庭に育ち、画家として活躍する一方で、印象派の画家たちを経済的に支え、彼らの作品を収集した重要なパトロンとしても知られています。

Le Pont de l'Europe

Le Pont de l’Europe (1876)

Le Pont de l’Europe (ヨーロッパ橋)は、パリのサン・ラザール駅につながる線路の上に架けられたヨーロッパ橋を描いたものです。画面には、当時流行の最新ファッションを身につけた人々が、橋の上を行き交う様子が、独特の構図で描かれています。

なお、この作品は、同じ構図で数点描かれていて、完成品はスイスジュネーブのプティパレ美術館が所有しています。レンヌ美術館に展示されている作品は、油彩の習作(スケッチ)になります。完成品には犬が描かれています。

但し、スイスのプティパレ美術館は現在一般開放していないようです。

Paul Gauguin (1848-1903)

ポール・ゴーギャンは、後期印象派を代表するフランスの画家です。元々は株式仲買人でしたが、35歳で安定した生活を捨て、画家としての道を歩み始めました。自然をそのまま描く印象派から脱却し、感情や思想を表現する象徴主義の旗手として活躍しました。

Nature morte aux oranges

Nature morte aux oranges (1880) 上段

Vase de fleurs (1880) 下段

Nature morte aux oranges (オレンジのある静物) は、株式仲買人として働きながら、本格的に絵画の道を歩み始めたばかりの、ゴーギャンの初期の作品であり、彼の後の作風とは大きく異なります。

Vase de fleurs (花瓶の花) は、『オレンジのある静物』と同様に、画家として本格的に活動を始めたばかりの、ゴーギャンの初期の作品であり、印象派の影響が強く見られます。

Jean-François Raffaëlli (1850-1924)

ジャン=フランソワ・ラファエリは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてフランスで活躍した画家、彫刻家、版画家です。印象派の画家たちと交流があり、特にパリ郊外や貧しい人々の生活を題材とした自然主義的な作風で知られています。

La Bretagne

La Bretagne (1909)

La Bretagne (ブルターニュ)は、ブルターニュ地方の、岩がちで荒涼とした海岸線を描いたものです。ラファエリは、この作品を通じて、厳しい自然環境とそこに生きる人々の静かな生活を、独自の感性で表現しています。

Lovell Birge Harrison (1854-1929)

ラヴェル・バージ・ハリソンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したアメリカの風景画家です。彼の兄トーマス・アレクサンダー・ハリソンと同様に、フランスで美術を学び、トーン・ペインティングの代表的な画家として知られています。

November1881

November (1881)

November (11月)は、冬の訪れを感じさせる11月の森の中を描いています。地面には枯葉が積もり、木々の間からは夕暮れか朝靄のような柔らかな光が差し込んでいます。

Władysław Ślewiński (1856-1918)

ヴワディスワフ・スレヴィンスキーは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したポーランドの画家です。フランスでポール・ゴーギャンと出会い、ブルターニュのポン=タヴァンで制作活動を行うなど、後期印象派や象徴主義の影響を強く受けました。

Marine au rocher rouge

Marine au rocher rouge

Marine au rocher rouge(赤い岩の海景)は、ブルターニュの荒々しい海岸に立つ、象徴的な赤い岩と、広大な海を描いたものです。ゴーギャンから影響を受けたスレヴィンスキーの、静かで内省的な作風をよく示しています。

Emmanuel de La Villéon (1858-1944)

エマニュエル・ド・ラ・ヴィヨンは、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したフランスの画家です。ポスト印象派に属し、特に色彩と光を大胆に用いた、個人的な表現で知られています。

Le père Thureau

Le père Thureau (1892)

Le père Thureau (テュロー爺さん)は、画家が親交のあったサン=ジェルマン=デ=プレの住人、テュロー爺さんの肖像画です。彼は、ラ・ヴィヨンにとって、パリで出会った特別な人物の一人でした。この作品は、その人物の個性と尊厳を、率直で心温まる眼差しで捉えています。

Édouard Charles Hulton (1858-1935)

エドゥアール・シャルル・ユルトンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの画家です。ブルターニュ地方に深く根ざした画家として、その地の風景や農村の生活を、写実的でありながら詩的な感性で描き続けました。

Le Musée de Rennes

Le Musée de Rennes (1900)

Le Musée de Rennes (レンヌ美術館)は、レンヌ美術館の広々とした展示室が静まり返っている様子を描いています。高い天井の部屋に、壁に掛けられた絵画や彫刻が展示され、光が差し込む静謐な空間が表現されています。

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まとめ

シスレーが描いたセーヌ渓谷の穏やかな光、カイユボットが捉えたパリの近代的な躍動感、そしてゴーギャンが画家として歩み始めた頃の初々しい筆致。これらの作品は、教科書で見る有名作品とは違う、より親密で深い感動を与えてくれます。

特に印象的だったのは、ブルターニュの荒々しい海岸を描いた作品の数々です。スレヴィンスキーやラファエリが描いた赤い岩と青い海のコントラストは、この地を実際に訪れてこそ理解できる、土地と芸術の深いつながりを教えてくれました。

混雑とは無縁の静かな展示室で、印象派の巨匠たちと心静かに対話する時間は、きっとあなたの人生に新たな彩りを添えてくれるはずです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

レンヌ美術館に展示されいる絵画についてはこちらで詳しくご紹介させて頂いております。合わせてご参照ください。

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