ロココ美術:ルイ15世による華麗なる宮廷文化、愛と美の祝祭

フランス ロココ 西洋絵画史
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18世紀フランス。ルイ15世の治世下、ヴェルサイユ宮殿を中心に、華麗で優雅な文化が花開きました。

それが「ロココ美術」です。

バロックの反動としてフランスで始まったロココ美術は、ヨーロッパ各地に影響を与えます。

その特徴は、「とても華やかで優雅なもの」でした。

この記事では、ロココ美術の特徴、時代背景、そして代表的な画家たちについて解説します。

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ロココ美術とは?:バロックの反動、優雅で華麗な宮廷文化

名前の由来

rococo(ロココ)」とは、フランス語の rocaille(岩や天然石を模した装飾)とポルトガル語のbarroco(貝殻の湾曲した形状)を合わせた造語になります。

誕生の歴史

17世紀のフランスはイタリアやフランドルからマニエリスムバロックの影響を受けて、次第に古典主義へと発展して行きました。

18世紀に入りルイ15世の治世になると、古典主義への反動もあり、より優雅で華やかなスタイルがもてはやされるようになります。

活動期間

1710年頃~1780年頃までの期間。
主にルイ15世の治世時期になります。

以下のように細かく分類することもあります。

  • 1710~1720:前期
  • 1730~1750:盛期
  • 1760~1780:後期
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ロココ美術の特徴:優雅、装飾、そして愛と美

豊かな装飾

パステルカラーを用いた作品が多く描かれるようになりました。

カーブや湾曲、自然な要素が多く取り入れられるようになります。

非対称性。

豊富な装飾品

葉、鳥、花束、果物、楽器などの自然物や、天使、ドラゴン、極東の要素など空想上の物が取り入れられるようになりました。

愛と美の追求

恋愛や神話、宮廷生活などを題材に、愛と美を追求した作品が多く制作されました。

サロン文化

貴族や文化人が集まるサロンを中心に発展し、文化交流が盛んに行われました。

あらゆる分野

ロココは絵画にとどまらず、彫刻、建築、家具、音楽、ファッションなどの多くの芸術の分野に取り入れられました。

ロココ美術の時代背景:ルイ15世の治世とサロン文化

ルイ15世の治世:

  • ルイ15世の治世下、宮廷文化が爛熟し、ロココ美術が発展しました。

サロン文化の発展:

  • 貴族や文化人が集まるサロンが発展し、文化交流や芸術の発展に貢献しました。

バロックへの反動:

  • バロックの重厚さや権威主義に対する反動として、ロココは軽快で優雅な美を追求しました。

年表

1715年、ルイ14世死去

1715年、ルイ15世国王に就任

1718年~1720年、四カ国同盟戦争

1725年、サロンが開催

1733年~1735年、ポーランド継承戦争、ロレーヌ公国併合

1740年、オーストリア継承戦争

1755年、ナンシーのスタニスラス広場が完成

1756年、七年戦争

1774年、ルイ15世死去

1789年、フランス革命

代表画家

ジャック・アルバート・ジェラン(Jacques-Albert Gérin, 1640-1702)

  • バロック期のフランスの画家。
  • 宗教画や歴史画を制作しました。

クロード・ジロー(Claude Gillot, 1673-1722)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 風俗画や演劇の場面を描いた作品で知られています。
  • ヴァトーの師としても知られています。

ジャン=アントワーヌ・ヴァトー(Jean-Antoine Watteau, 1684-1721)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 「雅宴画」と呼ばれる、優雅な男女の遊ぶ場面を描いた作品で知られています。
  • 代表作:「シテール島の巡礼」

ピエールジャック・ケイズ(Pierre-Jacques Cazes,1676-1754)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 宗教画や歴史画を制作し、王立絵画アカデミーの会員でした。

ノエル=ニコラ・コワペル(Noël-Nicolas Coypel, 1690-1734)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 歴史画や宗教画を制作し、王立絵画アカデミーの会員でした。

シャルル・アントワーヌ・コワペル(Charles-Antoine Coypel, 1694-1752)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 歴史画や風俗画を制作し、王立絵画アカデミーの校長を務めました。

ジャン・シメオン・シャルダン(Jean-Baptiste Siméon Chardin,1699-1779)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 静物画や風俗画を多く手がけ、日常の質素な場面を丁寧に描いた作品で知られています。
  • 代表作:「食前の祈り」

ジャン・オノレ・フラゴナール(Jean Honoré Fragonard, 1732-1806)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 官能的で軽快な風俗画を多く手がけました。
  • 代表作:「ぶらんこ」

ユベール・ロベール(Hubert Robert, 1733-1808)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 古代ローマの遺跡などを描いた風景画で知られています。
  • 代表作:「ルーブル美術館グランド・ギャラリーの構想」

シャルル・グランドン(Charles Grandon, 1691-1762)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 歴史画家として知られています。

ジャン=バティスト・グルーズ (Jean-Baptiste Greuze,1725-1805)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 道徳的なテーマを描いた風俗画で人気を博しました。
  • 代表作:「村の花嫁」「父親の呪い」

ガブリエル=フランソワ・ドワイアン(Gabriel-François Doyen、1726-1806)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 歴史画や宗教画を多く手がけ、アカデミックな作風で知られています。

エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン(Élisabeth Vigée Le Brun, 1755-1842)

  • ロココ期のフランスの女流画家。
  • マリー・アントワネットの寵愛を受け、多くの肖像画を描きました。
  • 代表作:「マリー・アントワネットと子供たち」

ルイ・ルネ(Louis René Vialy, 1680-1770)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 肖像画家として知られています。

フィリップ・ソーヴァン(Philippe Sauvan, 1697-1792)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 風俗画家として知られています。

クロード・ジョセフ・ヴェルネ( Claude Joseph Vernet、1714-1789)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 海洋画家として知られ、嵐や難破船などの劇的な場面を描いた作品で人気を博しました。
  • 代表作:「嵐の後の静けさ」

エイドリアン・マングラード(Adrien Manglard, 1695-1760)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 海洋画家として知られ、イタリアで活躍しました。

ベルナルディーノ・フェルジョーニ(Bernardino Fergioni, 1674-1738)

  • ロココ期のイタリアの画家。
  • 海洋画家として知られています。

ジャン・ジョセフ・カペラー(Jean-Joseph Kapeller, 1706-1790)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 風景画家として知られています。

フランソワ・ルモワーヌ(François Lemoyne,1688-1737)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 壮大な天井画や歴史画を制作し、ヴェルサイユ宮殿の装飾も手がけました。
  • 代表作:「ユピテルとイオ」

ジャンフランソワ・カーズ(Jean-François Cars,1661-1738)

  • ロココ期のフランスの画家、版画家。
  • 風俗画や肖像画を制作し、多くの版画作品も残しました。

シャルル=ジョゼフ・ナトワール(Charles-Joseph Natoire, 1700-1777)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 神話画や装飾画を多く手がけ、タペストリーのデザインも手がけました。
  • 代表作:「プシュケとアモルの物語」

フランソワ・ブーシェ(François Boucher,1703-1770)

  • ロココ期のフランスを代表する画家。
  • 神話画や風俗画を多く手がけ、官能的で装飾的な作風で人気を博しました。
  • 代表作:「ポンパドゥール夫人の肖像」

ユベール=フランソワ・グラヴロ(Hubert-FrançoisGravelot,1699-1773)

  • ロココ期のフランスの画家、版画家。
  • イラストレーターとしても活躍し、多くの書籍の挿絵を手がけました。

ジャン=バティスト=マリー・ピエール(Jean-Baptiste Marie Pierre, 1714-1789)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 歴史画や宗教画を制作し、王立絵画アカデミーの校長を務めました。

シャルル・アンドレ・ヴァンルー(Charles André van Loo, 1705-1665)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 歴史画や神話画を多く手がけ、王室の庇護を受けました。

ユーグ・タラヴァル(Hugues Taraval, 1729-1785)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 歴史画や宗教画を制作し、王立絵画アカデミーの会員でした。

二コラ・ギ・ブルネ(Nicolas Guy Brenet, 1728-1792)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 歴史画や風俗画を制作し、写実的な作風で知られています。

ニコラ・ベルナール・レピシエ(Nicolas-Bernard Lépicié, 1735-1784)

  • ロココ期のフランスの画家。
  • 風俗画や歴史画を制作し、シャルダンの影響を受けました。

カール・ヴェルネ(Carle Vernet, 1758-1836)

  • ロココ末期から新古典主義への移行期のフランスの画家。
  • 風俗画や戦争画を多く手がけ、ナポレオンの軍隊を描いた作品で知られています。

※ 分類が違う場合もあります。

ロココ以外の画家が含まれている場合もあります。

カタカナ表記に関して実際の発音と異なる場合もあります。

人物相関図

西洋絵画史 フランス ロココ 人物相関図

★ご利用の注意点★

上の代表画家の相関図です。

青い矢印は師弟関係を表していますが、実際はその関係がはっきりしていなかったり、ワークショップで働いたことがあるだけであったりします。

情報は英語版、フランス語版ウィキペディアを参考に製作しています。

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まとめ

華やかな時代であるロココもルイ15世の死とともに衰退してしまいます。

実際の活動期間は短いですが、様々な影響を色んな分野に与えました。

今回は絵画を中心にご紹介させて頂きましたが、彫刻や建築物(特に内装)、家具などロココ様式の素晴らしい作品が多数ありますので、ご興味のある方は、ぜひ調べてみてください。

フランス・ロココまでの流れは以下になります。

ロココは、フランスだけでなく、イタリアでも広がりを見せています。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

西洋美術史の全体像は年表でご紹介させて頂いております。

合わせてご覧頂くと時代の流れが理解しやすくなると思います。

西洋絵画史
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