オルセー美術館コレクション、今回は象徴主義をご紹介させて頂きます。
フランスで象徴主義を代表する画家として真っ先に挙げられるのが、シャバンヌとモローの2人です。
絵画のスタイルは全く違いますが、2人とも後世の画家に大きな影響を残しています。
幸いなことに2人の画家とも沢山の作品を残しているので、ぜひ色々な作品を見比べて見てください
それでは早速ご紹介させて頂きます。
- 象徴主義とは
- George Frederic Watts (1817-1904)
- Pierre Puvis de Chavannes (1824-1898)
- Gustave Moreau (1826-1898)
- Félicien Rops (1833-1898)
- Odilon Redon (1840-1916)
- Louis Welden Hawkins (1849-1910)
- Ferdinand Hodler (1853-1918)
- Alexandre Séon (1855-1917)
- Alphonse Osbert (1857-1939)
- Fernand Khnopff (1858-1921)
- Gustav Klimt (1862-1918)
- Edvard Munch (1863-1944)
- Charles-Marie Dulac (1866-1898)
- Cuno Amiet (1868-1961)
- Giovanni Giacometti (1868-1933)
- Edgard Maxence (1871-1954)
- まとめ
象徴主義とは
象徴主義とは、1886年に、フランスの詩人 Jean Moréas(ジャン・モレアス 1856-1910)によってUn Manifeste littéraireの中で Le Symbolisme(象徴主義宣言)を発表したことによるものです。
Symbol(象徴)とはラテン語の「記号」に由来します。
但し、文学的な側面からは、ボードレールが1857年に発表した、Les Fleurs du malが始まりと言われています。
ボードレールが翻訳したEdgar Allan Poe(エドガー・アラン・ポー)の作品も大きな影響力を持っていました。
またマラルメの作品も影響を与えました。
絵画の世界では、夢と神話をテーマに多く描いたものが見受けられます。
自然主義への反動であり、観念や感覚など人間の内面を様々な象徴を描いて、キャンパスの上で表現することを目指していました。
出典:ウィキペディア Symbolism (arts) より引用
George Frederic Watts (1817-1904)
L’Amour et la Vie (1893)
イギリスの彫刻家であり、画家であり、肖像画を多く描いています。
ラファエル前派の影響を受けています。
Pierre Puvis de Chavannes (1824-1898)
Le ballon (1870)
象徴主義を代表する画家であり、壁画に情熱を注いだ画家です。
後世の画家に多大な影響を与えています。
こちらの作品はGoogleのポリシー違反に該当する可能性があるため掲載を控えさせて頂いております。
L’Espérance (1871-72)
普仏戦争の影響を受けたシャバンヌは関連する作品を幾つか製作しています。
この作品は、「希望」というタイトルどおり、墓標である十字架が立つ荒野の背景の中に、少女が平和のシンボルでもあるオリーブの小枝を持っている様子を描いています。
こちらの作品はGoogleのポリシー違反に該当する可能性があるため掲載を控えさせて頂いております。
Jeunes filles au bord de la mer (1879)
Le rêve (1883)
「夢」というタイトルで、1883年のサロンに出品されました。
こちらの作品はGoogleのポリシー違反に該当する可能性があるため掲載を控えさせて頂いております。
La toilette (1883)
La jeune mère dit aussi La Charité (1887)
Sainte Geneviève ravitaillant Paris (1893-98)
パリの守護聖人である、聖ジュヌヴィエーヴが464年、パリがゲルマン王に包囲された時、小麦などの食料を配ったといわれているシーンを描いています。
この題材については複数の作品を製作しています。
Saint Sébastien
3世紀頃の聖人である、聖セバスティアヌスを描いています。
Gustave Moreau (1826-1898)
L’enfance de Sixte-Quint (1853-54)
象徴主義を代表する画家の一人であるモロー。
アカデミズムの教育を受けて、ドラクロワの影響、イタリア滞在の影響で独自の世界観を切り開きました。
神話の主題を象徴する作品が多いです。
なおモローの作品のほとんどは、パリにあるギュスターヴ・モロー美術館で見ることが出来ます。
Orphée (1865)
ギリシャ神話に登場するオルフェの死のシーンを描いています。
有名なシーンで多くの画家が描いたテーマです。
Le Bon Samaritain (1865)
善きサマリア人を描いた作品です。
Le calvaire (1867)
ゴルゴタの丘を描いた作品です。
L’enlèvement d’Europe (1869)
ギリシャ神話に登場するエウロパがゼウスが姿を変えた白い牛に連れ去られるシーンです。
非常に有名なシーンでルネサンス期から数多くの画家が描いています。
l’apparition (1876)
モローを代表する作品の一つです。
聖書に書かれている、サロメとヨハネのシーンを描いています。
こちらの作品はGoogleのポリシー違反に該当する可能性があるため掲載を控えさせて頂いております。
Galatée (1880)
ギリシャ神話に登場するガラテアとポリフェムス(巨人)を描いています。
Hésiode et la Muse (1891)
ギリシアの詩人ヘシオドスがミューズから詩の才能を与えられるシーンです。
Félicien Rops (1833-1898)
L’initiation sentimentale (1887)
ベルギーの画家、イラストレーターになります。
主な活動はフランスでした。
数多くの本のイラストを描いていたことで知られています。
作品は、フランスの作家、Joséphin Péladan (1859-1918)の作品、La décadence latine の第3章L’initiation sentimentale(1887)からのものです。
Odilon Redon (1840-1916)
Les yeux clos (1890)
独特の世界観で作品を製作していたOdilon Redon。
彼の創作の源は、夢や無意識の世界からインスピレーションを得て描いていたと言われています。
活動した前半期は、黒を基調とした作品のみで、展示作品のように色を使って表現するようになったのは、1890年代以降になります。
作品は妻のカミーユを描いています。
Baronne Robert de Domecy (1900)
友人であったドメシー男爵の婦人の肖像画です。
独特の背景は、日本画の影響を受けていると言われています。
Figure, fleur jaune (1901)
Marguerites et baies de Sorbier (1901)
ヒナギクとマウンテンアッシュベリーを描いた作品です。
Marguerites (1901)
こちらもヒナギクを描いた作品です。
Frise de fleurs, marguerite rose (1901) 上
Frise de fleurs et baies (1901) 下
Arbre sur un fond jaune (1901) 左
Arbres sur un fond jaune (1901) 中央
La branche fleurie jaune (1901) 右
黄色を基調とした3つの作品です。
それぞれ249,5×185,5 cmの大きな作品です。
Paul Gauguin (1903-05)
ゴーギャンの肖像画になります。
神格化された雰囲気が漂います。
Le Sacré-Coeur (1910)
Christ en croix (1910) 上段
Tête de Christ (1877) 下段
Parsifal (1912)
ワグナーが書いたオペラ、パルジファルに触発されて描いた作品です。
Louis Welden Hawkins (1849-1910)
Séverine (1895)
イギリス人とオーストリア人の両親を持ちドイツで生まれたホーキンスは、フランスに帰化した画家です。
ラファエル前派の影響を受けています。
描かれている女性は、彼のモデルを務めた、作家、ジャーナリストのSéverineになります。
Ferdinand Hodler (1853-1918)
La pointe d’Andey, vallée de l’Arve (1909)
スイスの画家になります。
Parallelism(パラレリズム、平行主義)という独自の描き方で多くの作品を残しています。
作品はアルブ渓谷を描いたもので、数多くのアルプスを描いています。
Le bûcheron (1910)
Alexandre Séon (1855-1917)
Lamentation d’Orphée (1896)
シャバンヌの影響を強く受けています。
作品は、ギリシャ神話に登場する詩人、オルフェウスを描いています。
Alphonse Osbert (1857-1939)
Vision (1892)
アカデミズムで学んだが、シャバンヌの影響を強く受けて、象徴主義の画家になっています。
作品は、聖ジュヌヴィエーヴを描いています。
Fernand Khnopff (1858-1921)
L’Encens (1898)
ベルギーの画家で、ラファエル前派の影響を受けた画家です。
モデルは自身の妹になります。
彼が描いた作品の中の女性は、特定の自分が指定されていない限り、すべて妹を描いています。
Gustav Klimt (1862-1918)
Rosiers sous les arbres (1905)
オーストリアの画家で、象徴主義、アールヌーボーに分類されます。
もともとはアカデミズムの画家でしたが、アカデミズムを離れ、ウィーン分離派を結成します。
この頃以降の作品がアールヌーボーに属していくと思われます。
オーストリアの現代美術を牽引する画家の一人です。
とても多才で様々な作品を残していますので、ご興味のある方は、ぜひ調べてみてください。
作品は、オーストリアのLitzlbergに滞在中に描いた作品です。
Edvard Munch (1863-1944)
Nuit d’été à Aagaardstrand (1904)
ノルウェーを代表する画家、ムンク。
彼の代表作「叫び」はあまりにも有名です。
1889年のパリ留学時代に、印象派、ポスト印象派などの影響を受けています。
その後も、パリ、ドイツ、ノルウェーで活動しました。
分類が難しいのですが、今回は象徴主義に分類させて頂きました。
Charles-Marie Dulac (1866-1898)
Paysage mystique (1894)
フランスの画家ですが、初期の頃はほとんど知られていません。
シャヴァンヌやカリエールのワークショップに参加したと言われています。
象徴主義の画家として分類されています。
Effet de soleil à Subiaco (1897)
Cuno Amiet (1868-1961)
Schneelandschaft, dit aussi Grosser Winter (1904)
スイスの画家です。
分類が難しいのですが、一応、象徴主義に分類しました。
ポン=タヴァン派でもあるので、ポスト印象派にもなると思います。
作品は178cm×235cmの大きいキャンパスに、スキーヤーがとても小さく描かれています。
雪山と言う壮大なテーマの中で、スキーヤーの目指す場所は画面の外になり、それでもなお進んでいくという、人生を象徴的に描いていると言われています。
Giovanni Giacometti (1868-1933)
Vue de Capolago (1907)
スイスの画家です。
パリで印象派、ポスト印象派の影響を受けました。
Cuno Amietとは親友で、ポンタヴァン派の影響も受けています。
また、Ferdinand Hodlerの影響も受けています。
作品は、スイスのルガーノ湖の南東にある村、Capolagoからの眺めになります。
Edgard Maxence (1871-1954)
Femme à l’orchidée (1900)
ギュスターヴ・モローの弟子にあたる象徴主義の画家です。
まとめ
いかがでしたか。
個人的に象徴主義は好きなのですが、同時代の画家の作品たちと比べても、かなり個性が強くなってきています。
作品によってはちょっと理解出来ないようなものも増えてくるので、この辺りから現代画が苦手になって来る方もいらっしゃるのではないでしょうか。
(内面的なものを作品に表現しようとしているので、仕方ないと思うのですが、、)
ただどの時代でも同じだとは思いますが、すべての作品を理解したり、好きになったりすることは出来ないので、何となくご自身とイメージが合う作品をちょっと調べてみたりすると、描いているシーンや、何を表現しているのかが分かったりするとより楽しめるのではないでしょうか。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
なお作品の解釈については、オルセー美術館公式ページを参考にさせて頂いております。
お時間のある方は合わせてご覧になってみてください。
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