オルセー美術館コレクション ナビ派 神秘主義が生み出す作品たち セリュジエ ボナール ヴュイヤール ドニ

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Nabiパリ

今回ご紹介させて頂くオルセー美術館コレクションは、ナビ派の作品です。

ナビ派の結成には、ゴーギャンが大きく関与しており、彼の影響力がいかに強かったが伺えます。

写実主義であった印象派への反発から生まれているために、見たままの絵画を製作するのではなく、平坦で象徴的な表現が多いのも特徴です。

それでは早速ご紹介させて頂きます。

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ナビ派とは

歴史

ナビ派の創設者はPaul Sérusier(ポール・セリュジエ)になります。

1888年に、ブルターニュ地方に滞在していたゴーギャンの下を訪れたセリュジエは、絵画に対して制約を設けず、自分自身が感じたことを純粋で鮮やかな色で表現するべきだという指導を受けます。

(これはポンタヴァン派の手法であるSynthetism(シンセティズム、綜合主義)を伝えたのではないかと思われます)

これに感銘を受けたセリュジエは、すぐに列車でパリに戻り、アカデミージュリアン(画塾)の仲間である、ボナールヴュイヤールドニなどにこの話を伝えます。

これがナビ派を結成するきっかけとなります。

Nabi(ナビ)は旧約聖書の「預言者」から名前をとっており、神秘主義、秘密主義的な部分が多くありました。

ゴーギャンセザンヌを主な崇拝の対象としていました。

1890年に、セリュジエと親友であった、モーリス・ドニが、美術雑誌Art et Critiqueに、Pierre Louisの名前で、The Definition of Neo-traditionalismという記事を書き、それがナビ派マニフェストになりました。

1891年から92年にかけて、演劇界、装飾芸術との関りが深くなり、メンバーたちがそれぞれの分野で活躍することになります。

特徴

ナビ語と呼ばれる暗号を使用したりしていました。

ジャポニズムの影響もとても強く受けており、特にボナールは熱狂的、積極的にそのスタイルを採用していました。

女性を描くことが多いのも特徴で、特に庭や外で活動しているシーンが好んで描かれていました。

ポスターや版画、グラフィックアートなどにも積極的に取り組んでいます。

抽象化の要素はなく、しっかりとした作品が多いのも特徴です。

残念ながらナビ派の活動期間は短く、1900年頃には、それぞれの道を歩んで行きました。

出典:ウィキペディア Les Nabis より引用

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Aristide Maillol (1861-1944)

La femme à l'ombrelle

La femme à l’ombrelle (1895)

彫刻家として大変有名なマイヨールですが、彫刻を始める前は、画家としてもナビ派に属して幾つかの作品を残しています。

また、カバネルとジェロームの弟子であり、画家としての基礎もアカデミズムで学んでいます。

シャバンヌの影響を強く受けています。

この作品は、マイヨールの絵画の中でも傑作と言われています。

József Rippl-Rónai (1861-1927)

Soldats français en marche

Soldats français en marche (1914)

ハンガリーの画家で、ナビ派に属します。

作品は、1914年、第一次世界大戦がはじまる頃の様子を描いています。

戦争が始まり、フランスにいるほとんどの外国人が、収容所(キャンプ)に送られました。

その時の人々の様子を描いています。

Paul Sérusier (1864-1927)

Eve bretonne

Eve bretonne (1890)

ポスト印象派を代表する画家の一人、ポール・セリュジエ

ゴーギャンの影響を強く受けた画家の一人です。

ポン=タヴァン派でもあるポール・セリュジエですが、ナビ派の創設者でもあるので、ナビ派に分類させて頂きました。

作品は、イヴを題材にしており、ゴーギャンの作品に影響を受けて描かれた作品のようです。

Le champ de blé d'or et de sarrasin

Le champ de blé d’or et de sarrasin (1900)

麦畑とそば畑を描いています。

2013年にオルセー美術館に追加された作品です。

La barrière fleurie, Le Pouldu

La barrière fleurie, Le Pouldu (1889)

ゴーギャンと共に滞在していた、ブルターニュの Poulduで描かれた作品です。

花壇のフェンスを中心に描いています。

木の枝が一定の間隔で描かれているのも特徴的です。

La barrière

La barrière (1890)

この作品も、ブルターニュの Poulduで描かれた作品です。

花壇のフェンスが完成した様子を描いています。

道路とフェンスを曲線に描くことにより、視線が左から右側へ移るように意図しているようです。

Les laveuses à la Laïta

Les laveuses à la Laïta (1892)

フランス北西部、Huelgoatで描いた作品です。

L'averse

L’averse (1893)

この作品も、Huelgoatで描いた作品です。

ゴーギャンの教えだけでなく、日本画にも傾倒していたセリュジエ

版画の雰囲気や、雨の描き方など日本的な要素が見て取れます。

Femmes à la source

Femmes à la source (1899)

静かな画面ですが、先頭の女性が水を汲んだ時の波紋だけが動きを与えている印象的な作品です。

Le Talisman

Le Talisman (1888)

ゴーギャンの指示の下、描かれた作品です。

抽象的なこの絵画の魅力は表だけでなく、作品の裏には、

Un tableau est essentiellement une surface plane, recouverte de couleurs, en un certain ordre assemblées.

と、ナビ派の創設宣言が書かれていて、シンボル的な作品となりました。

Tétraèdres

Tétraèdres (1910)

三角錐、または四面体と呼ばれるものが空間に浮遊する様子を描いた作品です。

解釈は難しいので色々と調べて頂きたいのですが、精神性や宇宙とのつながりを表していると言われています。

象徴主義的であり、抽象主義とも言える作品です。

Portrait de Paul Ranson en tenue nabique

Portrait de Paul Ranson en tenue nabique (1890)

ナビ派の画家であるPaul Ransonを描いた肖像画です。

セリュジエはほとんど肖像画を描いていないので、作品としては珍しいものになります。

ナビ派を象徴するオカルト的な要素が描かれていますが、ランソンが着ている洋服などは実際には存在せず、セリュジエの想像で描いたものになります。

Félix Vallotton (1865-1925)

Femmes à leur toilette

Femmes à leur toilette (1897)

スイスの画家であり、日本の版画に大きな影響を受けています。

木版画を多数製作したことでも知られています。

Gabrielle Vallotton se faisant les ongles

Gabrielle Vallotton se faisant les ongles (1899)

Portrait de Monsieur Alexandre Natanson

Portrait de Monsieur Alexandre Natanson (1899)

作品は、ポーランドの銀行家、Alexandre Natansonの肖像画です。

Femme se coiffant

Femme se coiffant (1900)

1899年にGabrielle(未亡人)と結婚したことにより、画風も変化して行きます。

非常に裕福な家柄だったので、経済的な変化も大きかったかもしれません。

または、愛する人に出会えた安心感のようなものでしょうか。

Femme retirant sa chemise

Femme retirant sa chemise (1900)

Le toast

Le toast (1902)

Henriette Bernheim, belle-mère de l'artiste

Henriette Bernheim, belle-mère de l’artiste (1902)

Intérieur, femme en bleu fouillant dans une armoire

Intérieur, femme en bleu fouillant dans une armoire (1903)

Eglise des Hurlus en ruines

Eglise des Hurlus en ruines (1917)

Pierre Bonnard (1867-1947)

Le peignoir

Le peignoir (1890)

ナビ創設者の一人でもあるピエール・ボナール

日本美術に最も影響を受けた画家の一人です。

白と黄色、特に「」にこだわりを持って色の追及をしていました。

彼の描く作品の女性モデルはほぼ妻であるマルトのみです。

同じくナビに参加した、ヴァイヤールとは親友でした。

Femmes au jardin

Femmes au jardin  (1891)

左から、femme à la robe à pois blancsfemme assise au chatfemme à la pélerinefemme à la robe quadrilléeになります。

Crépuscule, dit aussi La partie de croquet

Crépuscule, dit aussi La partie de croquet (1892)

Le corsage à carreaux

Le corsage à carreaux (1892)

作曲家クロード・テラスの娘を描いた作品です。

L'enfant au pâté de sable

L’enfant au pâté de sable (1894)

ボナール初期の頃の作品で、日本画に影響された様子が伺えます。

本来は4点セットの作品のようで、他の3点はニューヨークの近代美術館にあるそうです。

Le chat blanc

Le chat blanc (1894)

Le grand jardin

Le grand jardin (1894-95)

リヨン近くの、Le Grand-Lempsにある家の果樹園を描いた作品と言われています。

Place Clichy

Place Clichy (1894)

Chanteurs ambulants

Chanteurs ambulants (1897)

ストリートミュージシャンを描いています。

Scène de rue

Scène de rue (1899)

L'après-midi bourgeoise ou La famille Terrasse

L’après-midi bourgeoise ou La famille Terrasse (1900)

作曲家クロード・テラスとその家族を描いた作品です。

1900年頃から、ナビ派、日本画の影響から離れた作風に変わっていきます。

Effet de neige

Effet de neige (1901) 上段

Promenade dans le jardin (1896) 下段

Le compositeur Claude Terrasse et ses deux fils

Le compositeur Claude Terrasse et ses deux fils (1902)

作曲家クロード・テラスと二人の息子を描いています。

Tête de femme à contre-jour

Tête de femme à contre-jour (1906)

En barque

En barque (1907)

ノルマンディー地方にあるVernonで暮らしていたボナール。

セーヌ川をボートで下る様子を描いています。

La loge

La loge (1908)

Etude de nus

Etude de nus (1910)

Etude pour "Le Printemps"

Etude pour “Le Printemps” (1912)

La Manucure

La Manucure (1912)

L'enfant à la brouette, étude

L’enfant à la brouette, étude (1912)

Nu au gant bleu

Nu au gant bleu (1916)

Chien sur la terrasse

Chien sur la terrasse (1917)

Couchant, bord de rivière

Couchant, bord de rivière (1917) 上段

Antibes (variante) (1930) 下段

L'Allée d'arbres

L’Allée d’arbres (1918)

Femme au corsage blanc, contre-jour

Femme au corsage blanc, contre-jour (1923)

Paysage à la maison violette

Paysage à la maison violette (1929)

Édouard Vuillard (1868-1940)

La robe rayée

La robe rayée (1890) 上段

En visite, les demoiselles Fornachon (1891) 下段

Roussel à la mèche noire

Roussel à la mèche noire (1890) 上段

Marthe Mellot (1891) 下段

Le liseur

Le liseur (1890)

Ker-Xavier Rousselの肖像画のようです。

Marthe Mellot

Marthe Mellot (1891) 上段

La Visite (1891) 下段

Intérieur à la tenture rouge

Intérieur à la tenture rouge (1891) 上段

La Commode rouge (1892) 下段

Au lit

Au lit (1891)

Le sommeil

Le sommeil (1892)

Le jardin des Tuileries

Le jardin des Tuileries (1894)

Jardins publics

Jardins publics (1894) 右から3枚

Jardins publics : fillettes jouant (1894) 左端

Jardins publics : l’interrogatoire (1894) 左から2番目

La revue blanche(多くの芸術家が協力した雑誌)のディレクターであった、Alexandre Natansonの注文で製作された作品です。

La soirée musicale

La soirée musicale (1896)

Le déjeuner en famille

Le déjeuner en famille (1899)

Félix Vallotton

Félix Vallotton (1900)

Félix Vallottonの肖像画です。

赤い靴が印象的です。

Misia assise dans une bergère dit "Nonchaloir"

Misia assise dans une bergère dit “Nonchaloir” (1901)

日本美術の影響を受けた画家の一人です。

カンヌ滞在中に描いた作品と言われています。

La visite chez Madame Hessel

La visite chez Madame Hessel (1905) 上段

Deux femmes dans un salon (1903-04) 下段

Fleurs en pot

Fleurs en pot (1906)

La table

La table (1909) 上段

Les journaux (1909) 下段

Madame Hessel lisant le journal devant la cheminée - I

Madame Hessel lisant le journal devant la cheminée (1917)

暖炉のそばで新聞を読んでいるエッセル婦人です。

Intérieur du salon de thé Le Grand Teddy

Intérieur du salon de thé Le Grand Teddy (1917)

カフェのために描いた作品と言われています。

Maurice Denis (1870-1943)

L'Offrande au calvaire

L’Offrande au calvaire (1890)

ナビ派を代表する画家の一人、モーリス・ドニ

セリュジエとは親友で、ナビ派の活動のマニフェストを製作したことでも知られています。

晩年は新古典主義に回帰して行きます。

Tache de soleil sur la terrasse

Tache de soleil sur la terrasse (1890)

La Messe

La Messe (1890)

Soir d'octobre [panneau pour la décoration d'une chambre de jeune fille]

Soir d’octobre [panneau pour la décoration d’une chambre de jeune fille (1891)

ピンクのドレスを着た女性がマルトであると言われています。

この作品のシリーズが全部で4点あります。

Soir de septembre

Soir de septembre (1891)

Le menuet de la Princesse Maleine ou Marthe au piano

Le menuet de la Princesse Maleine ou Marthe au piano (1891)

作品は、1893年に結婚するマルトの肖像画です。

Les Muses

Les Muses (1893)

サン=ジェルマン=アン=レーを舞台にして、ギリシャ神話に登場する文芸の女神、Musesを描いた作品です。

中央に座っている女性は、自身の妻であるマルトを描いています。

ボードレールを意識して描いた作品と言われています。

Paysage aux arbres verts ou Les Hêtres de Kerduel

Paysage aux arbres verts ou Les Hêtres de Kerduel (1893)

ゴーギャンのLes arbres bleusに対応して製作した作品であると言われています。

La Dame au jardin clos

La Dame au jardin clos (1894)

Portrait d'Yvonne Lerolle en trois aspects

Portrait d’Yvonne Lerolle en trois aspects (1897)

友人である画家、 Henry Lerolleの娘、Yvonne Lerolleを描いた作品です。

3人の女性が描かれていますが、全員Yvonne Lerolleになります。

Maternité à la fenêtre

Maternité à la fenêtre (1899)

Le Paradis

Le Paradis (1912)

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まとめ

いかがでしたか。

ゴーギャンの強い影響を受けた2つのグループ、今回ご紹介させて頂いたナビ派と前回ご紹介させて頂いたポンタヴァン派

画家の集まった場所に違いがあるので、作品のテーマにかなり違いがあります。

パリを中心とした都会的な作品が多いナビ派と、豊かな自然、牧歌的な地域であったブルターニュ地方の影響の強いポンタヴァン派

どことなく似ている部分もあり、全く違う雰囲気に仕上がっていたりもしています。

2つのグループを見比べながら鑑賞してみるのも楽しいかもしれません。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

なお作品の解釈については、オルセー美術館公式ページを参考にさせて頂いております。

お時間のある方は合わせてご覧になってみてください。

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