今回ご紹介させて頂くのは、ile-de-france(イル=ド=フランス)で使える乗り放題のチケット、Navigo(ナヴィゴ)です。
パリを2回目に訪れる方や、1週間以上滞在予定のある方にぜひ利用して頂きたいチケットになります。
その魅力は、なんと言っても、あらかじめ決められた期間の料金を支払えば、その間、メトロやバスが乗り放題で利用出来るというものです。
さらに、シャルルドゴール空港とパリ市内を結ぶロワシーバスやRER B線でも利用出来る優れたカードです。
イメージは、日本の「スイカ」のようなものですが、残念ながらかなりシステムが違います。
今回はこのNavigo(ナヴィゴ)について、正しく安全に使用できるように、詳しくご紹介させて頂きます。
La carte Navigo Découverte ナヴィゴ デクーベルト
基本情報
La carte Navigo Découverte
対象者:パリ非居住者(観光旅行者)
発行価格:5ユーロ
料金:利用する期間によって異なる(下記参照)
有効期限:カード本体は最後の利用から10年 利用するには利用期間分のチャージが必要
必要書類:なし 但し利用開始するには顔写真(25mm × 30mm)が必要
販売場所:メトロ、RER の各駅、シャルルドゴール空港でも購入可能(駅、有人カウンター)
チャージ場所:同上
利用可能エリア:ile-de-france(イル=ド=フランス)
購入方法
購入場所
購入場所 | |
シャルルドゴール空港 | RER B線 有人カウンター |
パリ市内 | メトロ、RER各駅有人カウンター |
ナヴィゴ本体を購入する場合は、メトロ、RER の各駅の有人カウンターで購入します。
ツアー等で、ホテルまでの送迎がない方は、シャルルドゴール空港、RER B線の有人カウンターで購入するのが最もお勧めの方法です。
購入方法
空港で購入する場合も、市内の駅で購入する場合も、
Navigo Découverte s’il vous plaît. (ナヴィゴデクーベルト シルブプレ)
と言えばOKです。
1枚の場合はそのままでOKですし、2枚、3枚など複数購入される場合は、必要な枚数を付け加えればOKです。
2deux (ドゥ)、3 trois (トロワ)
特に何も言わなくても大丈夫だと思いますが、もし何か聞かれているようでしたら、semaine (スメンヌ)と言えば1週間分をチャージしてくれます。
最寄りの駅のカウンターの場合は、ケースバイケースのようです。
5ユーロしか請求されなかったら、本体分のみの金額ですので、後ほど紹介する方法でチャージして利用してください。
券売機でナヴィゴ本体分、5ユーロのチケットがありますので、それを購入するように言われる場合もあります。
写真は、シャルルドゴール空港の有人、チケットオフィスです。
おそらく誰かが並んでいると思いますので、列に並んで順番を待ちましょう。
ナヴィゴを購入する際、フランス語で話しかけるのは緊張するなぁと思われる方も多いかも知れません。
しかし、最近のフランス、特にパリでは、ほとんどの人が積極的に英語で話しかけてくれますので、あまり言葉の心配はする必要がないと思います。
また、購入する際もNavigo (ナヴィゴ)と言う言葉さえ伝われば、相手もこちらの意図は理解してくれると思います。
Navigo personnalisée と言うフランス在住者用のカードもありますが、フランス語が上手く話せないのに、こちらを勧められることはないので、特に気にする必要はありません。
チャージ料金
Navigo(ナヴィゴ)本体は購入しただけでは利用することは出来ません。
これは、日本のスイカ等と同じ仕組みです。
利用可能な状態にするにはチャージしなくてはなりません。
以下、利用期間とチャージ料金になります。
Zones | Navigo Semaine(1週間) | Navigo Mois(1か月) |
---|---|---|
Toutes zones | 30.75€ | 86,4€ |
2 à 3 | 28,2€ | 78,8€ |
3 à 4 | 27,3€ | 76,8€ |
4 à 5 | 26,8€ | 74,8€ |
(2024年現在)
以前に比べて大幅に料金が上がっています。
(ゾーンについては、下記に詳細があります)
旅行者が利用するのは一番上の赤字になっているラインです。
これはゾーン1~5までが含まれる、ile-de-france全域に乗り放題で利用出来るということです。
以前はもう少し細かく範囲が設定されていたのですが、パリ中心地がゾーン1になるため、旅行者には他のエリアの選択肢は基本的になくなっています。
通常の旅行で1か月も滞在することはあまりないと思いますので、ほとんどの方は、Navigo Semaine(ナヴィゴ・スメンヌ)を購入することになると思います。
但し、1週間有効な Navigo Semaine(ナヴィゴ・スメンヌ)は日本の感覚で利用しようとするとかなり違いがあることに驚かされます。
詳しくは後ほど説明します。
利用可能エリア
そもそもナヴィゴを購入したらどれくらい便利なのか、分からない方も多いと思います。
以下、少しわかりにくいですが、すべてのゾーンに対応した地図になります。
中央、白い部分がパリ市内でゾーン1。
外に向かって色が変わるごとに、ゾーン2~ゾーン5になります。
ナヴィゴがあるとこのエリアの電車、バスが乗り放題になりますので、お得感が分かって頂けると思います。
主な観光スポットは以下になります。
- パリ ディズニーランド
- ベルサイユ宮殿
- シャルルドゴール空港
- フォンテンブロー城
- プロヴァン
- サン・ジェルマン・アン・レー
- ジヴェルニー
ここに挙げたスポットだけでも、一度の旅行では周り切れない位、見どころが沢山あります。
ひとつひとつの場所を行くたびに、通常の切符を購入していたらすぐに100ユーロを超えてしまうと思いますので、「30ユーロ」という金額がいかにお得な料金かは分かって頂けると思います。
有効期間と購入のタイミング
Navigo Semaine(ナヴィゴ・スメンヌ)、1週間有効なチケットと聞くと、ほとんどの日本人であれば、手続きをした日から1週間、チケットが有効だと考えます。
1週間と書いてあれば当然このように考えるのが普通です。
しかし、Navigo Semaine(ナヴィゴ・スメンヌ)の意味する1週間とは、月曜日~日曜日の7日間を1週間と考えています。
(月曜日~日曜日まで有効なチケットが販売されていると考えるとわかりやすいと思います)
つまり、月曜日にチャージしても日曜日までの1週間料金。
木曜日にチャージしても日曜日までの1週間料金となるのです。
一方は7日間、もう一方は4日間ですからかなり不公平な感じがしますが、融通が効かないのがフランスクオリティ。
こういう仕組みだということで、諦めましょう。
そしてさらにもう一つ、大きな問題があります。
それは、その週に有効なチャージは木曜日までしか出来ないということです。
例えば、金曜日にシャルルドゴール空港に到着して、その場でナヴィゴにチャージして、すぐに利用することは出来ないということです。
(チャージは機械で出来ますが、それはあくまでも翌週の月曜日からチャージになりますので、間違わないように気を付けてください)
シャルルドゴール空港からの移動にナヴィゴが使えるのは大きなメリットなのですが、到着日が金曜日~日曜日だと、その間はナヴィゴが全く利用出来ないのです。
旅行のスケジュールにもよると思いますが、4泊~5泊位の旅行で金曜日に到着してしまうと、ナヴィゴを利用する意味がほとんどなくなってしまいますので、日程を決める際は注意が必要です。
表を見て頂くと、有効期限と購入の方法がよくわかって頂けると思います。
有効期限が黄色の期間を購入する場合は、その週の木曜日まで。
有効期限が赤色の期間を購入する場合は、前の週の金曜日からその週の木曜日まで。
有効期限が緑色の期間を購入する場合は、前の週の金曜日からその週の木曜日まで。
このように見て頂くと、旅行期間が短い場合は、月曜日に到着するのが最もナヴィゴを有効に活用することが出来ることになります。
但し、その際は6泊までが一度のチャージで利用出来る最大の宿泊数になりますので、6泊を超える場合は再度チャージするか、通常のチケットを購入して過ごすことになります。
ナヴィゴはとても便利ですが、最大限利用しようとすると、様々な制約が出てきます。
一般的な旅行でパリに6泊以上する方は少ないと思いますし、休みの関係で月曜日から旅行に出ることが出来る方も少ないと思います。
また、月曜日に出発出来たとしても、日程によっては他の曜日に出発するよりも割高な料金になってしまう場合がほとんどです。
ナヴィゴを利用するために、割高な曜日を選んで旅行するのは、パリでの移動費を抑える目的のはずが、かえって旅費が高くつく場合がありますので、旅費トータルのバランスを上手く考えて旅程を組むことをお勧めします。
チャージ方法
それではナヴィゴのチャージ方法を見てみましょう。
今回はメトロの駅で、機械を利用してチャージする方法をご紹介します。
基本的な手順はどこの機械で行っても同じです。
また、機械が苦手な方は、有人のカウンターでも手続きしてくれると思いますが、人によっては、機械を使えと言われる場合もありますので、注意してください。
パリのメトロの券売機はこんな感じで並んでいます。
券売機の上に、Navigo と記載されていれば、どの券売機でもチャージが出来ますが、最初のうちは、写真の左側、パープルの丸い台がある方を利用することをお勧めします。
まずは言語を選びます。
フランス語を選んでも問題はないと思いますが、念のため、英語を選んでおきましょう。
最初にナヴィゴ本体を円形のパープルの台の上に置きます。
特に向きは関係ありません。
まずは利用する期間を選んでください。
- Monthly (月ごと)
- Weekly (週ごと)
- One day (1日)
真ん中のWeekly を購入するのですが、小さく有効期間が表示されているので、間違わないよう確認してください。
次に、ゾーンを選びます。
まず、1を選びます。
そして5を選びます。
あとは右側に料金が表示されますので、内容を確認します。
次は支払いになります。
券売機の脇にクレジットカードを差し込む場所がありますので、ICチップを上にして差し込みましょう。
フランスではICチップのついたカードが主流です。
基本的にどこの機械もICチップが付いたカードでなければ利用出来ませんので、お持ちでない方は、渡航前に作っておくことをお勧めします。
すべてが終わったらカードを取り上げます。
なお、この時、注意が必要です。
Pick up your Navigo pass
の表示が出るまでは、絶対にカードを取り上げないでください。
途中で取り上げるとチャージが上手くされていない場合がありますので、気を付けましょう。
日本のように一瞬でチャージされるような感覚ではありません。
スマートフォンをお持ちの方は、アプリを使って直接チャージすることも出来ます。
利用方法
利用の前の注意点
無事にチャージが出来た方は、早速ナヴィゴを利用してみましょう。
但し、その前にもう一つ大事なことがあります。
それは、顔写真を貼ることです。
写真、右側の下の部分に顔写真を貼る場所がありますので、こちらに必ず写真を貼りましょう。
なお、写真のサイズは、25mm×30mm になります。
日本で事前に用意しておいた方がベターです。
そして、顔写真のとなりの白い場所に、サインをすることもお忘れなく。
この2つを忘れて、そのまま利用すると、万が一、検札にチェックをされた時に、法外な罰金を請求されますので、絶対に忘れないようにしてください。
万が一、写真やサインのないナヴィゴを利用して検札に捕まると、100ユーロ前後の罰金が科せられます。 (もっと高額になる場合もあります)
旅行者だからとか、知らなかったと話しても絶対に見逃してはくれませんのでくれぐれも注意してください。
フランスの検札、警察は融通が効きませんのでもしそのような状況になったときは素直に諦めましょう。
実際の利用方法
ナヴィゴの利用方法は簡単です。
日本のスイカとほぼ同じですので、ナヴィゴマークにタッチして利用しましょう。
左から3つの改札がナヴィゴ専用の改札です。
メトロやRER は大体このような改札になっています。
通常のチケットは利用出来ませんので注意してください。
バスの場合は、乗車口にこのような機械がありますので、ここにタッチします。
音が鳴ればOKです。
利用時の注意点
ナヴィゴは購入した期間中、ゾーン5までは乗り放題ですが、必ず電車、メトロに乗る場合は改札を通し、バスに乗るときは機械にタッチしてください。
稀に、タッチしなくても通れたり、バスに乗るときも急いでいたり、混雑していたりするとタッチしなくても乗車出来たりしてしまいます。
特にバスなどは、発車後でも問題ないので、必ずタッチするようにしましょう。
検札等のチェックに出くわすと、入場履歴がない場合、高額の罰金を科せられる場合もありますので、どのような状況でも確実にタッチすることを心がけてください。
良くあるトラブル
ナヴィゴを利用しているときによくあるトラブルが、
タッチしたけど、通れない!
というものです。
実は、ナヴィゴは不正利用防止のため、
「一度通したナヴィゴはすぐに利用することが出来ない」
のです。
もちろん、通常利用しているときにそんなことはなかなか起こらないのですが、混雑しているとき、稀に前の人が通ったものを自分のナヴィゴで通ったと反応してしまうことがあります。
また扉や回転バーが重いので、上手く押せずにいると、すでに通ったと機械が判断してしまう場合もあります。
さらに、一度改札を通ったけど、すぐに出てきて、再度同じ場所から入ろうとした場合なども利用出来なくなってしまう場合もあります。
様々な理由で起こりえますので、あまり理由は気にしない方が良いと思います。
(フレンチクオリティだと思って諦めましょう。)
突然このような状況になった場合はかなり焦りますが、実は解決策は簡単です。
5分ほど待つ。
これが解決策です。
しばらく待つと、ロックが解除されるのかどうかわかりませんが、再び利用出来るようになりますので、慌てずに時間をおいて再度通ってみてください。
問題なく通れるようになっていると思います。
なお、このような状況で有人カウンターで話をしても、あまり良い反応は期待しないでください。
(上手く説明できる語学力があればの話ですが、、、、)
時間を置くと通れるようになりますので、ほとんどの人が何もしてくれないと思います。
シャルルドゴール空港で購入する際の注意点
ターミナル2 で購入する際の注意点
ナヴィゴはシャルルドゴール空港で購入することが可能です。
しかし、エールフランス航空、日本航空(JAL)が利用するターミナル2で購入しようとすると少し問題があります。
それは購入窓口が、ターミナル2Eから距離があるということです。
図の中央が出口なのですが、ナヴィゴの購入窓口に行くには、出口を出て、左に向かって歩いて行きます。
(画面上は右側です)
そのまま突き当りでエスカレーター、またはエレベーターで1階に上がります。
さらにその先を直進します。(図を超えて行きます)
動く歩道を超えたら、SNCF RER B線のターミナルに到着しますので、エスカレーターで0階に降ります。
カウンターはここにありますので、実際に歩くと10分くらいはかかると思います。
RER B線で、パリ市内に向かう方はそのまま地下に降りるとホームがありますので、問題ないのですが、ロワシーバスでパリ市内に向かう方は、もう一度来た道を戻らなくてはなりません。
最初の地図を見て頂くとわかるのですが、ロワシーバスの乗り場は出口を出て真っすぐ歩いた場所にあります。
購入カウンターまで往復の時間と、カウンターでの混雑を考えると、ロワシーバスに乗車するまでに30分以上、混雑時は1時間位かかる場合も考えられます。
ロワシーバスを利用してパリ市内に移動する方法を考えている方は、時間に余裕を持って行動してください。
なお、すでにナヴィゴを持っていらっしゃる方は、バス乗り場でチャージが出来ますので、そのままバス乗り場に向かってください。
まとめ
いかがでしたか?
パリ滞在を有意義に過ごすには、ナヴィゴの利用は必須です。
また、一度購入しておけば、再訪問の際、10年以内であれば再度利用することが出来ますので、とても便利です。
但し、ご説明させて頂きましたが、誰にとってもお得で便利な訳ではありません。
以下に当てはまる方は、旅程のスケジュールに合わせて利用を検討されることをお勧めします。
- 空港からの移動が、送迎付き、タクシー 等、ロワシーバス、RER B線を利用されない方。
- ヴェルサイユ宮殿等に行かれない方、またはツアーで参加する方
- 市内観光をツアーで周られる方
- 市内から外に出かけない方
- 歩くのが好きな方
- 金曜日に到着する方
- パリ滞在が短い方
- 今後パリに来る予定がない方
上記の予定でパリ旅行を検討されている方は、無理にナヴィゴを利用する必要がない場合がほとんどです。
ナヴィゴは最初に利用する際に、35ユーロ(本体5ユーロ)ほどかかりますので、ご自身の旅程を良く考えて利用してみてくださいね。
滞在スケジュールが上手く合う方は、ぜひナヴィゴを活用して行動範囲を広げて、パリを満喫してくださいね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
パリ市内まで、最も安全で簡単に行ける、ロワシーバスの利用方法はこちらで詳しくご紹介頂いております。
パリ市内に最短で行ける、RER B線の利用方法については、こちらで詳しくご紹介させて頂いております。
シャルル・ド・ゴール空港からパリ市内への移動方法はこちらで詳しくご紹介させて頂いております。
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