今回は、多くの旅行者が気になる「パリの治安」について詳しく解説します。
素晴らしい街であるパリですが、日本と比較すると治安が良いとは言えません。
置き引きやスリ、ひったくりが多発しています。
しかし、少しの注意を払えば、トラブルに巻き込まれるリスクを大幅に低減できます。
パリ旅行をより楽しく、何度も訪れたくなる体験にするためには、治安をしっかり理解することが大切です。
この記事では、特に初めての方でも安心して旅行が楽しめるように、「治安区別マップ」をご用意しました。
地図を利用してパリ全体を把握し、訪れる地域の雰囲気を予め理解することで、現地での行動がより安心・安全なものになります。
それでは早速、多くの方が心配される、「パリの治安」についてより詳しく見ていきましょう。
パリの基本情報 ~治安区別マップ~
まずは、上記の地図をよくみてください。
上手く表示されない場合はこちらをクリックしてください。
パリは地域によって、「区」ごとに分けられています。
日本で言えば東京23区 のような区切りだとイメージしてもらうのが良いかと思います。
(但し、パリ市内は山手線の内側分くらいの広さですので、それぞれの区はとても小さいです。)
パリは20からなる「区」ごとに分けられています。
ルーブル美術館やチュイルリー公園がある地域を1区として、時計回りに20区まで分けられています。
地図上の太い線が、それぞれの区を表しています。
東京でも区によって、住宅価格に大きな違いがあるように、当然パリにも区によって大きな違いがあります。
ただ、東京とちがうのは、東京では区によって治安に大きな違いはありませんが、パリは区によって、とても大きな違いがあるのです。
「大きな違い」と書いても、これから海外に行こうとする人にはピンと来ないかもしれませんが、ここで言う「大きな違い」とは、旅行者は立ち入ってはいけないということです。
もちろん、危険な区であっても、観光名所がある場合もありますので、その際は、なるべく安全なルートを通って行ってください。
それでは、区ごとの特徴を見て行きましょう。
1区~4区の治安情報
1区~4区はパリの中心地にあたります。
地図上では緑のラインに囲まれた地域になります。
数々の観光名所がありますので、たくさんの方が訪れる地域になります。
この地域の主な観光名所は以下になります。
1区
- ルーブル美術館
- チュイルリー公園
- サントノーレ通り(ブランド街)
- ポンヌフ
- シャトレ
- シテ島
2区
- オペラ通り
- ブルス(金融街)
3区
- ピカソ美術館
- パリ工芸博物館
- カルナヴァレ美術館
4区
- シテ島
- ノートルダム大聖堂
- ヴォージュ広場
- マレ地区
一度は聞いたことがある場所ばかりですね。
この地域は比較的安全な地域です。
但し、観光名所が多い分、観光客を狙ったスリやひったくりが多いのもこの地域です。
スマホで撮影するときや、メトロに乗るときなどは十分な注意が必要です。
また、観光名所には沢山のジプシーがいますので注意が必要です。
5区~7区の治安情報
この地域はパリの若者が沢山集まる地域になります。
地図上ではブルーのラインに囲まれた地域になります。
観光名所もありますが、どちらかというと街自体を見て回るという感じになります。
それぞれの区の特徴を見てみましょう。
5区
- パリ植物園&動物園
- 国立自然史博物館
- 国立中世美術館
6区
- リュクサンブール公園
- サンジェルマンデプレ
7区
- ボンマルシェ百貨店
- ロダン美術館
- オルセー美術館
- 不思議のメダイの聖母の聖堂
- ブルボン宮殿
- ケ・ブランリ美術館
- アンヴァリッド廃兵院
- エッフェル塔
5区はあまり行くことがないかも知れません。
6区は街を散策する感じになるかと思います。
7区はエッフェル塔を中心に見どころが満載ですので、ここだけで1日が終わってしまうかもしれません。
この地域は、基本的には安全な地域になります。
観光名所が多い分、観光客を狙ったスリ等はいますが、エッフェル塔周辺以外はそれほど多くはいません。
この地域から住宅地も増えてきますので、パリ生活の雰囲気が少し味わえる地区になります。
8区の治安情報
地図上では緑のラインに囲まれた地域になります。
シャンゼリゼを中心とした観光地域になります。
8区
- シャンゼリゼ
- グラン・パレ
- プティ・パレ
- コンコルド広場
- マドレーヌ寺院
- モンソー公園
とても有名な観光名所が集まっている地域になります。
比較的安全な地域になります。
1区~4区、同様、観光名所、メトロは十分な注意が必要です。
特にシャンゼリゼ周辺、シャンゼリゼ通りはすり、ひったくりに大きな注意が必要です。
9区~12区の治安情報
この地域は黄色のラインに囲まれた地域になります。
百貨店や観光名所もありますが、少し注意が必要な地域になります。
9区
- プランタン
- ギャラリーラファイエット
- オペラ座
10区
- 北駅
- 東駅
11区&12区
- ヴァンセンヌの森
通常の観光では9区がメインになるかと思います。
百貨店がある地域ですので、お土産やファッションなどのショッピングに利用されると思います。
沢山の人が集まるので、当然スリやひったくりが集まってくる地域になります。
ただ百貨店周辺は警察の見回りも強化されているので、すこし安心出来る場所でもあります。
10区は2つの駅がメインになります。
北駅と東駅になります。
電車で旅行に行かれない場合は特に利用することはないと思いますが、駅周辺はとても危険です。
訪れる際は、いつも以上の注意が必要です。
11区&12区は特に観光する場所はないと思います。
特別なお店等をめぐる場合は、十分な注意が必要です。
13区~17区の治安情報
地図上ブルーのラインに囲まれた地域になります。
パリの中では基本的に、最も安全な地域になります。
沢山のパリジャンがこの地域に住んでいます。
住宅地が多いので、観光することはあまりない場所になると思います。
実際にこの地域に住むと、住宅価格はとても高いので一般の人はなかなか住めない地域になっています。
日本の駐在員の方が住む地域でもあります。
なお、17区はグリーンのラインに囲まれた地域になりますので、少し注意が必要な地域になります。
ただ、観光名所はないので、訪れることもないと思います。
13区~15区
- カルティエ財団現代美術館
- ブールデル美術館
16区~17区
- トロカデロ庭園
- マルモッタン・モネ美術館
- ブローニュの森
あまり有名な観光スポットはない地域です。
かなりの回数パリに来ないと訪れない地域です。
その分、観光客が少ないので、安全な地域になっています。
18区~20区の治安情報
地図上赤いラインに囲まれた地域になります。
今回ご紹介する中では最も注意が必要な地域です。
この地域はパリで最も危険な地域になります。
移民等が多く集まる地域になります。
パリジャンでもよほどの用事がない限り訪れない地域になっています。
但し、この地域にはサクレクール寺院がありますので、観光で一度は訪れなくてはならない地域になります。
18区~20区
- サクレクール寺院
この地域はサクレクール寺院以外には絶対に行かないようにして下さい。
サクレクール寺院周辺は観光スポットですので、警察官も多数見回りをしていますが、それでもスリやひったくりの絶えない地域です。
サクレクール寺院に行くときは十二分な注意が必要です。
シャルルドゴール空港からパリに入るとき、バス等を利用するとこの地域を通ってくることになります。
車窓から外の景色を十分に見ておいてほしいのですが、落書きやごみが散乱しています。
路上でも特に何もすることがない人たちで溢れていますので、間違ってもこの地域に入り込まないようにしましょう。
面白半分や怖いもの見たさでも絶対に立ち寄らないようようにしてください。
サクレクール寺院について詳しくはこちらでご紹介させて頂いております。
現地での被害状況
残念ながら、気を付けていても被害にあってしまう場合があります。
上記のマップの中の比較的安全な地域でも起こることがあります。
また、スリ等はこちらのスキを伺っているので、疲れがたまって集中力が落ちた時に狙われることもあります。
事件に巻き込まれるかどうかは、旅慣れしているかどうかには関係なく、ちょっとした瞬間で被害にあう場合もあります。(現地に住まわれている方でも被害にあうことが多々あります。)
私も実際、何度か狙われたこともありますし、現地のフランス人が被害にあっているのを何度も見ています。
しかし出来ることなら、せっかくの旅行を楽しく過ごしたいものですよね。
以下では滞在時の注意点と、残念ながら、実際に被害に遭遇してしまった方からの貴重な情報を記載させて頂いております。
事例を参考に、少しでもおかしいなと思った場合は速やかにその場を立ち去るようにしましょう。
メトロでの被害
メトロ内でのスリ被害は最も多い事例の一つです。
カバンのファスナー等がきちんと閉まっていても、財布やスマートフォンを盗まれてしまうことがあります。
意図せず満員の列車に乗車してしまうこともあると思いますが、以下の点に注意して乗車するようにしてください。
- ジプシーと思われるような集団と同じ場所に乗らない。
- 扉の近くに乗車しない。
- 混雑時にスマートフォンを見ない。
- 荷物は体の前で抱える。
- 身なりの良い人がいる車両に乗る。
カフェでの被害
カフェのテーブルでスリに合うことも大変多い事例です。
テーブルの上に不必要にスマートフォンなどを置かないようにしましょう。
(スマートフォンを見た後は、テーブルに置くのではなく、ファスナーの付いた上着のポケット等に入れるようにしましょう。)
椅子の背もたれにリュックなどの荷物をかけるのは、盗んでくれといわんばかりの行為です。
絶対にやめましょう。
最近多いのが、スターバックスでのスリ被害です。
日本でも馴染みがあるために、つい気が緩んでしまうことが多いようです。
スターバックスの店舗が増えたため、どこでも気軽に立ち寄れるようになりましたが、利用する際は十分に注意してください。
レストランでの被害
レストランを利用する際の注意点は、基本的にはカフェを利用するのと同じです。
ただし、アルコールを飲まれる場合はさらなる注意が必要です。
店舗を出た後など、気持ちが緩みがちですので、お店を出る時は今一度パリにいることを思い出してホテルに戻るようにしてください。
ルーブル美術館からオルセー美術館での被害
情報を頂きました、concerto様、誠にありがとうございました。
コメント欄に記載頂きましたが、簡潔にこちらでもご紹介させて頂いております。
ルーブル美術館からオルセー美術館への途中、道を尋ねる感じで話しかけられ、無視して通り過ぎた後に、同行者の方が、その仲間に囲まれ、もみくちゃにされてしまいました。
その最中にウエストポーチからお財布が盗まれてしまったという事件です。
こちらの事件から考えますと、手口は以下の感じになります。
- 地図を広げて道を尋ねてくる。
- または、何かしらの署名活動を口実に近づいてくる。
- 相手を立ち止まらせ、大勢で取り囲む。
- もみくちゃにしている最中に、バックから財布等貴重品を盗む。
こういった手口での被害を防ぐためには、幾つかのポイントがあります。
地図を広げながら道を尋ねられても基本的に無視する。
ここでのポイントは、若い女性がこの手口で近寄ってくる時は間違いなく無視して先に行くことです。
最近はスマートフォンがありますので、若い人で道が分からないということはまずありません。
署名活動は無視する、また署名もしない。
署名をしているときだけでなく、署名をしたら署名料を求めてくる場合もあるようです。
日本にいる時の感覚で、つい立ち止まってしまいそうになりますが、署名活動は100%無視して問題ありません。
途中で気が付いた時は、助けを求める。または近くのお店に入る。
気を付けていてもつい巻き込まれてしまう場合があります。
途中で、一瞬でもおかしいと感じた時は、迷わず逃げましょう。
荷物があったり、走れないようなときは、どんなお店でも良いので近くのお店に逃げ込みましょう。
カフェでもホテルでも気にせず入って助けを求めましょう。
また、近くにそのような場所がないときは、誰でも良いので助けを求めましょう。
その際、フランス語である必要はありません。
「ヘルプミー」と言えば必ず相手に伝わります。
また、偶然人気のない場所を歩かなくていけない場合は常に周りを気にして歩くようにしましょう。
不審な感じがした場合は、来た道を戻ることも忘れずに。
今回、concerto様より頂いた情報は大変貴重な情報です。
もし、この記事をお読み頂けた皆様は、ご自身だけでなく、一緒にご旅行に行かれる方、お知り合い等でパリに行かれる予定のある方にお報せしてあげてください。
まとめ
いかがでしたか?
パリを改めて地区ごとに分けてみると、安全な旅行の仕方が少し見えてくると思います。
有名な観光名所周辺は比較的治安自体は悪くはありません。
すりやひったくりに注意すれば問題はないと思います。
地図上で表示したグリーンとブルーの地域を中心に観光して、ショッピング等の時だけ黄色の地区、特に9区に行くというのがベストな観光になります。
赤い地区はモンマルトルの丘、サクレクール寺院観光の時だけ訪れるのが良いと思います。
また、残念ながら、スリ等の被害に遭われてしまった方がいらっしゃいましたら、誠にお手数ですがお知らせ頂けると助かります。
これからパリを訪れる方への大変貴重な情報となりますので、お力を貸して頂けると助かります。
次回以降は、パリでのホテルの選び方、地区ごとの観光の仕方などを見て行きましょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント
6月にパリに行きます。
ネット検索していて貴HPにたどり着き、参考になる情報満載で助かっております。
特に、この区別治安マップは非常に有難いのですが、残念ながら肝心の地図が表示されません。
(ご参考までに、当方MacユーザでSafari利用。)
非常に有益なページですので、当方の問題ではない場合は、ご検討いただければと存じます。
奥田和美 様
大変嬉しいコメントを頂きありがとうございます。
マップの表示の不具合はご迷惑をお掛け致しました。
以下、マップの短縮URLを貼っておきますので、ご確認ください。
また表示できないようであればお手数ですがお知らせください。
念のため本文中にもリンクを貼っておきました。
6月のパリ旅行ぜひ楽しんでくださいね。
何かあればご遠慮なくお知らせください。
https://bit.ly/305SJTt
現在パリに滞在中です。
一昨日、同行者がスリというか泥棒というかにあいました。
ご参考になればと思いコメントします。
場所はルーヴル美術館からオルセー美術館へ向かうセーヌ川の手前あたりです。
最初は1人の若い女性が道を尋ねるような感じで話しかけてきて署名の用紙を見せて署名を求めてきます。当然拒否して歩き去ったのですが、横断歩道を渡ったら仲間の集団がいました。私はうるさいうるさいと日本語で怒鳴りながら早足で歩き抜けたのですが、同行者が取り囲まれて止まってしまい、もみくちゃにされました。私が助けに入って、さらに通りかかったフランス人と思われる男性が助けに入ってくれてなんとか脱出できましたが、ふと見ると彼女のウエストポーチがあけられていて財布がぬかれていました。
署名用のボールペンで手にあとがつけられていたので、刃物などではなくて本当によかったです。彼女いわく、5人くらいに肩や腕をつかまれて耳元で大声を出されて、なにがなんだかわからない状態だったそうです。
話しかけられても止まらない。無視。できるだけ早く立ち去る。が鉄則ですね。
日本人はそういう状況になれていないので、親切心で話を聞いたり立ち止まったりしてしまうので狙われるのかもしれません。
おとなしく署名すると署名料をはらえという詐欺?もあるそうです。
ルーヴル美術館は火曜日、オルセー美術館は月曜日がお休みなので、お休みの日は観光客も少なくのんびりしていていいなと思いながら歩いていたらやられました。
concerto 様
大変貴重な情報を頂きありがとうございます。
まずは、大きなお怪我等にならずに済んだようで何よりです。
とはいえ、気持ちの部分も大切だと思いますので、ケアをしながらお過ごしください。
最近は地図を片手に道を訪ねてくるようなパターンが増えているようです。
ご指摘通り、なかなか日本人には難しいですが、つい声を掛けられると親切心で立ち止まってしまいますよね。
いけないと思いながらもつい振り向いたりしてしまいます。
実は私も7月にパリに滞在しているときに同じような状況に出くわしております。
私の場合は運よく、未遂で済みましたが、ちょうど疲労が重ねって注意力が散漫になっているときに狙われました。
自分では大丈夫と思っていても、ちょっとした気の緩みを狙われるので、完全に防ぐのは難しいですが、
改めて気を引き締めて過ごさなくてはと再確認致しました。
今回の出来事は大変でしたが、今後パリを訪れる方の大変参考になるお話です。
後ほど本文にも追記させて頂きます。
治安の面で色々と問題のあるパリですが、それ以上の魅力があるのもパリだと思います。
まだ帰国までお時間があるようでしたら、細心の注意を払いつつも最後まで楽しんでお過ごしください。
お疲れ様です。 7月末から初めてオリンピックの応援を兼ねてパリに行きます。さらに気を付けたほうがよさそうですか?
わたなべ様
コメントを頂きありがとうございます。
基本的な注意事項は記載させて頂いているのと、オリンピック期間中は多くの警察官が巡回しますので、意外とスリ等に合う確率は減るかもしれません。
(あくまで予想ですが、、)
むしろそれ以外のトラブル、レストラン等の飲食店の値上げや混雑。
タクシー等の交通手段の確保の難しさや、メトロ、バスなどの混雑が考えられます。
滞在時の行動スケジュールを事前に細かく計画しておくことと、最悪の場合の移動手段や食料の確保などを考えておくと良いかもしれません。
また、安全面には直接関係ありませんが、夏のパリは物凄く乾燥している場合があるので風邪を引いてしまう可能性があります。
特に部屋の乾燥対策は考えておくことをお勧めします。
(浴槽があれば、お湯を入れたまま寝る、濡れたタオルを干して寝るなど、、、)
ご参考になれば幸いです。
気を付けてお出かけください。