今回は、ヨーロッパにおけるロマン主義、特にドイツを中心にご紹介させて頂きます。
前回までに、フランスとイギリスのロマン主義をご紹介させて頂きましたが、ドイツでも新しい運動が始まっていました。
年代に若干のずれがあるものの、どの国でも同じような運動が起こるのはとても興味深い所です。
それでは早速ご紹介させて頂きます。
ドイツロマン主義とは
ドイツロマン主義
ドイツロマン主義の画家は、「カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ(Caspar David Friedrich)」が国際的に最も有名です。
フリードリヒは主に風景画を描いていました。
独特の雰囲気がある素晴らしい作品が多いです。
また、20世紀になって「フィリップ・オットー・ルンゲ(Philipp Otto Runge)」も脚光を浴びるようになりました。
素晴らしい作品はもとより、ゲーテと親交があり、色彩の球体論を発表したことで高く評価されています。
活動期間
18世紀後半から19世紀中ごろまで。
ナザレ派とは
ナザレ派
1809年、ウィーンアカデミーの学生6人が「聖ルカ兄弟団」を設立します。
新古典主義、アカデミズムに反する美術史上、初めての運動と言われています。
精神的な価値を具現化する美術の追及を求め、中世後期と、初期ルネサンスの芸術家にインスピレーションを求めていました。
(個人の感情を大切にすることが、ロマン主義と合致しています。)
1810年、グループの4人がローマへ移り、廃墟となっていた、聖イシドロ修道院で生活をするようになります。
修道院では、中世の修道士的な生活を送っていたために、ローマの人々から、その風貌などを揶揄されて、「ナザレ派」と呼ばれるようになりました。
ナザレ派とは他称であり、自身たちはあくまでも聖ルカ兄弟団と名乗っていました。
幾つかのフレスコ画などを手がけましたが、1930年までには、ほとんどの画家たちがドイツに帰国してしまいました。
(ヨーハン・フリードリヒ・オーヴァーベック、一人だけが生涯をローマで過ごします)
反アカデミズムで始まった運動も、参加者の多くが帰国後に、アカデミーの教師になっています。
出典:ウィキペディア Nazarene movement
活動期間
1809年から1830年頃まで。
年表
1789年、フランス革命
1806年~1807年、第四次対仏大同盟(ナポレオンによる侵攻)
1806年~1813年、ライン同盟
1809年、聖ルカ兄弟団設立
1813年、ライプツィヒの戦い
1814年、ウィーン会議
1815年、ドイツ連邦設立
1848年、ドイツ革命
代表画家
ホセ・ルザン(José Luzán, 1710-1785) スペイン・バロック
フランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco Jose de Goya y Lucientes, 1746-1828) スペイン
クリスチャン・オーガスト・ローレンツェン(Christian August Lorentzen, 1749-1828) デンマーク
イェンス・ジュエル (Jens Juel, 1745-1802) デンマーク
カスパー・ダヴィド・フリードリヒ(Caspar David Friedrich, 1774-1840)
フィリップ・オットー・ルンゲ(Philipp Otto Runge, 1777-1810)
ヨハン・クリスティアン・ダール(Johan Christian Dahl, 1788-1857) ノルウェー
クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベルグ(Christoffer Wilhelm Eckersberg, 1783-1853)
フランツ・プフォル(Franz Pforr, 1788-1812)
ヨーハン・フリードリヒ・オーヴァーベック (Johann Friedrich Overbeck, 1789-1869)
ヨハン・コンラート・ホッティンガー (Johann Konrad HOTTINGER, 1788-1828)
ルートヴィヒ・フォーゲル(Ludwig Vogel, 1788-1879)
ジョセフ・ウィンターガースト (Josef Wintergerst, 1783-1867)
ヨゼフ・ヨハン・ズッター (Joseph Johann Sutter, 1781-1866)
フスタフ・ワッペルス(Gustaf Wappers, 1803-1874) ベルギー
ヤコブ・ヤコブス(Jacob Jacobs, 1812-1879) ベルギー
エミール・クラウス(Emile Claus, 1849-1924) ベルギー・印象派
※ 分類が違う場合もあります。
ロマン主義、ナザレ派以外の画家が多く含まれています。
カタカナ表記に関して実際の発音と異なる場合もあります。
人物相関図
★ご利用の注意点★
上の代表画家の相関図です。
青い矢印は師弟関係を表していますが、実際はその関係がはっきりしていなかったり、ワークショップで働いたことがあるだけであったりします。
情報は英語版、フランス語版ウィキペディアを参考に製作しています。
まとめ
いかがでしたか。
ドイツロマン主義以外の画家、スペインの「ゴヤ」や、ベルギーの画家も記載させて頂いておりますが、詳細は割愛させて頂きました。
ご興味のある方は、ぜひ色々と調べてみてください。
フランスとイギリスのロマン主義については、以下の記事をご参照ください。
- ロマン主義・フランス:個人の感情を重視するドラクロワの登場
- ロマン主義・イギリス:イギリス絵画の黄金期
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
西洋美術史の全体像は年表でご紹介させて頂いております。
合わせてご覧頂くと時代の流れが理解しやすくなると思います。
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