今回はアメリカにおける現代美術の推移を中心にご紹介させて頂きます。
第二次世界大戦が始まると、多くの芸術家が、ヨーロッパからアメリカ、特にニューヨークに避難しました。
戦争後、ヨーロッパは都市の復興へ力を注がなくてはならなくなり、ドイツの占領下であったパリもその例外ではありませんでした。
そのため、芸術の中心の舞台はパリからニューヨークへと移ることになるのです。
「抽象表現主義」は、第二次世界大戦後のアメリカ、特に1940年代頃からニューヨークで発展しました。
シュルレアリスムからの影響を多く受けています。
「ポップアート」は、1950年代半ばから1960年代後半まで、アメリカとイギリスで起こった芸術運動です。
(アメリカでは1960年代からアンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタインらの有名アーティストの登場により盛んになります)
この運動は、大量生産品や大衆文化のイメージを作品に組み込むことによって、それまでの美術界に挑戦するスタイルです。
「コンセプチュアル・アート」は、作品のコンセプトやアイデアが技術や物質的なものよりも優先されるスタイルです。
この運動の最初の作品と言われているのが、デュシャンの「レディ・メイド」になります。
1960年代から1970年代が活動のピークになります。
Abstract expressionism 抽象表現主義
Mark Tobey (1890-1976)
Unknown journey (Voyage inconnu) (1965-66)
マーク・トビーはアメリカの画家であり、書道と水彩画から大きな影響を受けました。
抽象表現主義を誕生させる初期の画家の一人です。
Mark Rothko (1903-1970)
N° 14 (Browns over Dark) (1963)
ロシア系ユダヤ人でありアメリカの画家であるマーク・ロスコ。
抽象表現主義を代表する画家の一人です。
Jean Hélion (1904-1987)
Composition orthogonale (1930)
ピート・モンドリアンの影響を受けたジャン・エリオンですが、この作品は、テオ・ファン・ドゥースブルフ(Theo van Doesburg)の概念を強く受けています。
抽象芸術をアメリカに広める一方で、キャリア中期からは具象絵画のみを描くようになりました。
Barnett Newman (1905-1970)
Not There-Here (Pas là, ici) (1962)
バーネット・ニューマンはアメリカの画家であり、抽象表現主義とカラーフィールド・ペインティングを代表する画家です。
Jackson Pollock (1912-1956)
The Deep (La Profondeur) (1953)
ジャクソン・ポロックはアメリカの画家であり、抽象表現主義を代表する画家の一人です。
この作品は最後の作品の一つと言われています。
Ellsworth Kelly (1923-2015)
Dark Blue Panel (Panneau bleu sombre) (1985)
エルズワース・ケリーは、20世紀~21世紀のアメリカを代表する画家の一人です。
湾曲したエッヂとピンチコーナーが空間を拡張しています。
Black White (Noir Blanc) (1988)
Green Relief (Relief vert) (2007)
White Over Black III (2015)
「White Over Black III」は、生前最後の作品の一つです。
pop art ポップアート
Andy Warhol (1928-1987)
Big Electric Chair (Grande chaise électrique) (1967)
ポップアートを代表するアメリカのアーティスト、アンディ・ウォーホル。
多くの方が知っている数々の作品を残しています。
1960年代のアメリカでは、死刑論争や死刑に関する抗議運動が行われていました。
Ten Lizes (1963)
エリザベステイラーの顔が並んでいます。
Jasper Johns (1930- )
Figure 5 (1960)
アメリカの画家であり、ネオ・ダダ、ポップアートの先駆者として知られています。
Erró (1932- )
Mao à San Marco (1975)
エロはアイスランド生まれの画家で主にフランスで活動していました。
Figuration narrativeの共同創設者の一人です。
Antonio Henrique Amaral (1935-2015)
O Salvador (Le Sauveur) (1966)
ブラジルの画家になります。
バナナに関連する作品や、政治的な作品を描いています。
Conceptual art コンセプチュアルアート
François Morellet (1926-2016)
Du jaune au violet (1956)
フランソワ・モルレは、ミニマリズムとConceptual art(コンセプチュアル・アート)の先駆けとなったフランスの画家です。
Bernar Venet (1941- )
Relief carton (1965)
ベルナール・ヴェネは、フランスの「Conceptual art(コンセプチュアル・アート)」のアーティストになります。
まとめ
戦争は人的、経済的被害を多く引き起こしますが、当然芸術の世界にも大きな影響を及ぼします。
ポンピドゥー・センター・コレクションとして沢山の作品をご紹介させて頂きましたが、第一次世界大戦と第二次世界大戦を契機に、思想やスタイルが大きく変わっていることに気が付かれたかと思います。
現代美術に限ったことではありませんが、絵画鑑賞の際、歴史的な背景を想像しながら鑑賞すると、より深く楽しめるのではないでしょうか。
ポンピドゥー・センターの他のコレクションは以下の記事でご紹介させて頂いております。
合わせてご参照ください。
ポンピドゥー・センターにつていの概要は以下の記事で詳しくご紹介させて頂いております。
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