今回ご紹介させて頂くのは、「ダダイズム」、「シュルレアリスム」になります。
ついに絵画のスタイルは無意識の世界に突入します。
ダダイズムは、1916年頃から20年前半にかけて、絵画の世界にとどまらず、様々な分野に広がっていきます。
多くの広がりを見せたダダイズムですが、その本質は「それまでの芸術の否定」です。
ダダイズムが多くの国に広まっていったのは、第一次世界大戦の勃発が大きく影響しています。
ただし、「それまでの芸術の否定」だけでは新しいものは生まれません。
ダダイズムの抱えていた大きな問題の解決に向かおうとしたのが、シュルレアリスムになります。
シュルレアリスムがはっきりと認識されるのは、1924年ブルトンによる「シュルレアリスム宣言」が出版されたことによります。
ダダイズムが「破壊」であれば、シュルレアリスムは「生産」ということになります。
無意識の世界にあるものをどうすれば形に出来るのか模索したのが、シュルレアリスムになります。
- Dadaïsme ダダイズム
- Surréalisme シュルレアリスム
- Alberto Savinio (1891-1952)
- Joan Miró (1893-1983)
- André Masson (1896-1987)
- Gérard Schneider (1896-1986)
- Jindrich Styrsky (1899-1942)
- Yves Tanguy (1900-1955)
- Léon Tutundjian (1906-1968)
- Balthus (1908-2001)
- Francis Bacon (1909-1992)
- Wilhelm Freddie (1909-1995)
- Matta (1911-2002)
- Simon Hantaï (1922-2008)
- Hervé Télémaque (1937-2022)
- Art Concret アート・コンクリート
- まとめ
Dadaïsme ダダイズム
Francis Picabia (1879-1953)
Pompe (1922)
ピカビアは、年代により様々なスタイルで作品を制作していました。
ニューヨーク・ダダのメンバーであったことから、ダダイズムに分類されることが多いかもしれません。
Raoul Hausmann (1886-1971)
Gelbes Pferd (Cheval jaune) (1916)
ベルリンダダの創設者になります。
Marcel Duchamp (1887-1968)
Neuf Moules Mâlic (1914-15)
ニューヨーク・ダダの中心的な人物として知られているマルセル・デュシャン。
20世紀の芸術に多大な影響を及ぼしましたが、30代半ば以降はほとんど作品を制作していない芸術家です。
デュシャンは芸術を、見る側の捉え方によるものであると考えていました。
そのため、芸術家の意図したものを、正しく鑑賞者に伝えるためには、コンセプトを共有する必要があると考えます。
コンセプトを共有化するために様々な方法を考えますが、最終的には「泉」の成功によりその目的は達したと考えていたのかもしれません。
In Advance of the Broken Arm (En prévision du bras cassé) (1915-1964)
Fresh Widow (1920-64)
Surréalisme シュルレアリスム
Alberto Savinio (1891-1952)
Le Songe (1930)
Giorgio De Chiricoの弟である、アルベルト・サヴィニオ。
作家、劇作家、作曲家としても知られています。
Joan Miró (1893-1983)
L’Addition (1925)
シュルレアリスムに分類されるジョアン・ミロですが、様々な技法、様々な分野で活躍しました。
Peinture (1927)
Sans titre (été 1929)
Bleu I (1961)
ミロにとって完璧な背景を描くために、ただ色を塗るだけでなく、心技体、筆の動き、手首の動き、呼吸などを整え描いた作品です。
Bleu II (1961)
ランダムに見える黒い点(石)も日本の禅寺の庭のように、規律をもって配置されています。
Bleu III (1961)
「Bleu I」と比較すると、黒い線の描き方が異なります。
André Masson (1896-1987)
Les Villageois (1927)
キュビスムの影響を受けていたマッソンは、シュルレアリスム運動に参加したのちは、作風が変化していきました。
1926年からは、砂を使った作品を製作するようになりました。
この作品は、砂を使い、自由な線はオートマティスムによって描かれています。
Gérard Schneider (1896-1986)
Opus 15C (1956)
スイス出身の画家であるジェラール・スナイダーは、シュルレアリスムを経た後に、Lyrical abstraction(叙情的抽象)という表現形式で活躍しました。
Jindrich Styrsky (1899-1942)
Le gilet de Maïakovski (1939)
シュティルスキーは、チェコのシュルレアリスムの画家になります。
赤いベストは、ロシア未来派の詩人「ウラジーミル・マヤコフスキー」を表しています。
Yves Tanguy (1900-1955)
Le Phare (1926)
シュルレアリスムの画家であるイヴ・タンギーは、18歳の時に、キリコに影響を受けて初めて絵画を描くようになりました。
作品は、幼少期を過ごしたブルターニュの思い出を描いています。
Léon Tutundjian (1906-1968)
Sans titre (1927) 左
Formes bleues (1926) 右
レオン・トゥトゥンジャンは、アルメニア出身でフランスで活躍した画家になります。
抽象画家、主にシュルレアリスムに分類されるようです。
Balthus (1908-2001)
La Toilette de Cathy (1933)
ピカソに、「20世紀最後の巨匠」と言わしめたバルテュス。
日本との関わりも深く、出田節子と結婚しています。
分類としてはシュルレアリスムになります。
作品は「嵐が丘」にインスピレーションを受け、文学と自伝の回想を混ぜて表現されています。
La Chambre turque (1965-66)
作品は1964年にローマにあるヴィラ・メディチの館長になったことにより、トルコの部屋をモチーフとしてオリエンタリズムを再定式化しています。
Grande composition au corbeau (1983-86)
スイス・ヴォー州のロシニエールで制作した最後の作品の一つと言われています。
Francis Bacon (1909-1992)
Van Gogh in a landscape (Van Gogh dans un paysage) (1957)
キュビスムやシュルレアリスムの影響を受けたベーコンは、比喩的で生々しく不安を与えるような作品を多く描いたイギリスの画家です。
20世紀を代表する画家の一人と言われています。
作品はゴッホの作品からインスピレーションを受けて製作された作品です。
Wilhelm Freddie (1909-1995)
Nonnens bøn (La prière de la religieuse) (1937)
デンマークの画家であるヴィルヘルム・フレディは、スカンジナビア地方での最初のシュルレアリスムの画家と言われています。
Les tentations de Saint Antoine (1939)
当時はポルノグラフィーとして扱われていました。
Matta (1911-2002)
Le Poète (Un poète de notre connaissance) (1944-45)
チリ出身の画家であり、シュルレアリスムの画家になります。
Simon Hantaï (1922-2008)
Meun (1968)
サイモン・ハンタイは、ハンガリーで生まれ、フランスで活動していました。
シュルレアリスムから様々なスタイルで描いています。
プリアージュ(折りたたみ)のテクニックを使用して多くの作品を製作しました。
Hervé Télémaque (1937-2022)
Objets usuels, pour Vincent van Gogh ? (1970)
ハイチ出身のフランス人画家であり、シュルレアリスム、Figuration narrativeの中で活動していました。
Art Concret アート・コンクリート
Otto Carlsund (1897-1948)
Komposition för Elevator (Composition pour escalier) (1926)
フェルナン・レジェとアメデエ・オザンファンに師事したオットー・カールスンドは、オザンファンのスタイルにより大きな影響を受けました。
その後、建築家ル・コルビュジエのプロジェクトに携わるようになりました。
この作品はキュビスムの影響を強く受けていますが、構成主義の影響を強く受けていくようになります。
まとめ
1924年、詩人アンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言」によって誕生したシュルレアリスムですが、1968年ブルトンの死によって分裂していくことになります。
なお、シュルレアリスム自体は現在も引き続き活動が行われています。
ポンピドゥー・センターの他のコレクションは以下の記事でご紹介させて頂いております。
合わせてご参照ください。
ポンピドゥー・センターにつていの概要は以下の記事で詳しくご紹介させて頂いております。
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