今回ご紹介させて頂くのは、「バルビゾン派」の人物相関図です。
歴史画や宗教画ではなく、ありのままの自然を描こうと、イーゼルを持って戸外で活動した最初のグループです。
後の印象派にも多大な影響を与えたバルビゾン派の画家たちのつながりを早速見て行きましょう。
バルビゾン派とは
バルビゾン派
「バルビゾン派(École de Barbizon)」とは、フランス、フォンテーヌブローの森のそばにあるバルビゾン村に集まった画家たちのことを指します。
基本的には自然主義、写実主義の風景画が中心になりますが、画家それぞれは肖像画等も描いています。
初期にバルビゾンに滞在した、コロー、ミレー、ルソー、ドービーニ、トロワイヨン、デュプレ、ディアズの7人を、「バルビゾン七星」と呼ぶこともあります。
バルビゾン派と言う呼び名は、1891年に英国の芸術評論家であるDavid Croal Thomson(1855-1930)により名づけられました。
活動期間
1830年頃から1870年頃まで
年表
1822年、コローがフォンテーヌブローの森を初めて訪れる
1824年、サロンに、イギリスを代表する画家、John Constable (1776-1837)の作品が出品される
1829年、コローがバルビゾン村を訪れる
1830年、31年、コローがフォンテーヌブローに関する作品をサロンに出品
1841年、鉄道開通
1848年、フランス2月革命
1848年~1852年、フランス第二共和政
1860年代、モネ、シスレー、ルノワールが訪れる
1870年、フランス第三共和政
出典:ウィキペディア Barbizon school より引用
代表画家
ジャン・ヴィクトァール・ベルタン(Jean-Victor Bertin, 1767-1842)
アシール・エトナ・ミシャロン(Achille-Etna Michallon, 1796-1822)
ジョセフ・フランソワ・パリ(Joseph François Paris, 1784-1871)
カミーユ・フレール(Camille Flers, 1802-1868)
ルイ・ニコラ・カバット(Louis-Nicolas Cabat, 1812-1893)
コンスタン・デュティユー(Constant Dutilleux, 1807-1865)
ジ-ャン・バティスト・カミーユ・コロー (Jean-Baptiste Camille Corot, 1796-1875)
シャルル・フランソワ・ドービニー(Charles-François Daubigny, 1817-1878)
ジャン・フランソワ・ミレー(Jean Francois Millet, 1814-1875)
テオドール・ルソー(Théodore Rousseau, 1812-1867)
ナルシス・ヴィルジール・ディアズ (Narcisse Virgilio Díaz de la Peña,1808-1876)
コンスタン・トロワイヨン(Constant Troyon, 1810-1865)
ジュール・デュプレ(Jules Dupré, 1811-1889)
シャルル・エミール・ジャック(Charles Émile Jacque, 1813-1894)
フェルディナンド・シャニョー(Ferdinand Chaigneau, 1830-1906)
シャルル・ジョセフ・レモンド(Jean-Charles-Joseph Rémond, 1795-1875)
ギヨーム・ギヨン・ルティエール(Guillaume Guillon Lethière, 1760-1832)
アントワーヌ・ギユメ(Antoine Guillemet, 1843-1918)
ジュール=アレクサンドル・グリューン(Jules-Alexandre Grün, 1868-1938)
フランソワ・スション(François Souchon, 1787-1857)
カロリュス・デュラン(Carolus-Duran, 1837-1917)
アルフォン・スコーラ(Alphonse-Victor Colas, 1818-1887)
フィリップ・オーギュスト・ジャンロン(Philippe-Auguste Jeanron, 1808-1877)
レオン・フランソワ・コメール(Léon-François Comerre, 1850-1916)
ルイ・フランセ(Louis Français, 1814-1897)
ギュスターヴ・クールベ(Gustave Courbet, 1819-1877)
アンリ・ハーピニー(Henri Harpignies, 1819-1916)
アルフレッド・ロール (Alfred Roll, 1846-1919)
エマニュエル・ドゥ・ラ・ヴィレオン(Emmanuel de La Villéon, 1858-1944)
フェリックス・ドゥ・ヴィーニュ (Félix De Vigne, 1806-1862)
ジュール・ブルトン(Jules Aldolphe Aimé Louis Breton,1827-1906)
※ 分類が違う場合もあります。
バルビゾン派以外の画家が多く含まれています。
カタカナ表記に関して実際の発音と異なる場合もあります。
人物相関図
★ご利用の注意点★
上の代表画家の相関図です。
青い矢印は師弟関係を表していますが、実際はその関係がはっきりしていなかったり、ワークショップで働いたことがあるだけであったりします。
情報は英語版、フランス語版ウィキペディアを参考に製作しています。
まとめ
いかがでしたか。
イギリスの「ジョン・コンスタンブル」から影響を受けた若い画家たちにより、様々な風景画が描かれるようになりました。
この時代の風景画は非常に評価の低いものでしたが、バルビゾン派を中心とする画家たちが果敢に挑戦したことにより、後の印象派に繋がり、さらにその後、高い評価を得るようになっていきます。
全体的にカラーは落ち着いた作品が多いですが、当時のフォンテーヌブローの風景を今に伝える貴重な作品ばかりです。
またそれまで描かれることのなかった農民たちが、描かれるようになったのもこの時期からになります。
時代を代表する画家も多くご紹介させて頂きましたが、特に後の画家に大きな影響を与えたのは、バルビゾン派のコローと、写実主義のクールベになります。
そして、この時期の画家の作品の多くが、オルセー美術館に展示されています。
こちらで詳しくご紹介させて頂いておりますので、合わせてご覧になってみてください。
バルビゾン派までのフランス美術史の流れは以下になります。
- 前期ルネサンス:何故ルネサンスは起こったのか?
- 初期ルネサンス:多くの技術革新
- 盛期ルネサンス:ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロによる完成形
- マニエリスム:新たな世界観への挑戦
- バロック・イタリア:劇的なシーンの登場
- 古典主義・フランス:ルイ14世スタイルの誕生
- ロココ・フランス:華やかで優雅なルイ15世スタイル
- 新古典主義・フランス:ナポレオンの台頭、アンピール様式
- ロマン主義・フランス:個人の感情を重視するドラクロワの登場
- ロマン主義・イギリス:イギリス絵画の黄金期
- アカデミック美術・フランス:権威主義、絵画のランク付け
次回は日本で最も人気の高い「印象派」についてご紹介させて頂きます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
西洋美術史の全体像は年表でご紹介させて頂いております。
合わせてご覧頂くと時代の流れが理解しやすくなると思います。
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