「象徴主義」を代表する画家であり、先駆者的な存在の画家が、「ギュスターヴ・モロー」と「ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ」の2人です。
画風は全く違いますが、2人とも1898年に亡くなるという不思議な縁を持っています。
フランスで始まった象徴主義ですが、その後ドイツを始めとするヨーロッパにも広がりを見せました。
少しつかみどころのない部分もある象徴主義ですが、一体どんな画家が活躍していたのか、早速ご紹介させて頂きます。
象徴主義とは
象徴主義
「象徴主義」とは、1886年に、フランスの詩人 Jean Moréas(ジャン・モレアス 1856-1910)によってUn Manifeste littéraireの中で Le Symbolisme(象徴主義宣言)を発表したことによるものです。
Symbol(象徴)とはラテン語の「記号」に由来します。
但し、文学的な側面からは、ボードレールが1857年に発表した、Les Fleurs du malが始まりと言われています。
ボードレールが翻訳したEdgar Allan Poe(エドガー・アラン・ポー)の作品も大きな影響力を持っていました。
またマラルメの作品も影響を与えました。
絵画の世界では、夢と神話をテーマに描いたものが多く見受けられます。
リアリズム、自然主義への反動であり、観念や感覚など人間の内面を様々な象徴を描いて、キャンパスの上で表現することを目指していました。
象徴主義者の多くは、1850年~1900年の間に生まれています。
出典:ウィキペディア Symbolism (arts) より引用
活動期間
1886年から20世紀初頭まで。
年表
1864年、モロー、Oedipus and the Sphinxをサロンで発表
1870年、フランス第三共和政
1876年、モロー、The Apparitionを始めとする作品をサロンに出品。
1876年、エミール・ゾラがサロンでモローの作品を「象徴主義」と非難する。
1886年、ジャン・モレアスが象徴主義宣言を発表。
1887年、エッフェル塔の建設が始まる
1889年、エッフェル塔、一般公開
1898年、モロー死去
1898年、シャバンヌ死去
代表画家
ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau, 1826-1898)
ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ(Pierre Puvis de Chavannes, 1824-1898)
アルフォンス・オスバート(Alphonse Osbert, 1857-1939)
エドガード・マクセンス(Edgard Maxence, 1871-1954)
オディロン・ルドン(Odilon Redon, 1840-1916)
アレクサンドル・セオン(Alexandre Séon, 1855-1917)
フェルナン・クノップフ(Fernand Khnopff, 1858-1921)
ジョヴァンニ・セガンティーニ(Giovanni Segantini, 1858-1899)
ジャン・デルヴィル(Jean Delville, 1867-1953)
コンスタン・モンタルド(Constant Montald, 1862-1944)
オーブリー・ビアズリー(Aubrey Vincent Beardsley, 1872-1898)
レオン・フレデリック(Léon Frédéric, 1856-1940)
ウジェーヌ・カリエール(Eugène Carrière, 1849-1906)
シャルル・マリー・デュラック(Charles-Marie Dulac, 1866-1898)
アンリ・シェフェール(Henry Scheffer, 1798-1862)
スタニスラス・ゴラン(Stanislas Gorin, 1824-1874)
ロドルフ・ブレダン(Rodolphe Bresdin, 1822-1885)
ジュール・ジョゼフ・ルフェーブル(Jules Joseph Lefebvre, 1836-1911)
フェリシアン・ロップス(Félicien Rops, 1833-1898)
バルテレミー・メン(Barthélemy Menn, 1815-1893)
ヨハン・ヴィルヘルム・シルマー(Johann Wilhelm Schirmer, 1807-1863)
テオドール・ヒルデブラント(Theodor Hildebrandt, 1804-1874)
ルドルフ・ヴィークマン(Heinrich Ernst Gottfried Rudolf Wiegmann, 1804-1865)
カール・グッソー(Karl Gussow, 1843-1907)
フェルディナント・ホドラー(Ferdinand Hodler, 1853-1918)
アルノルト・ベックリン(Arnold Böcklin, 1827-1901)
フランツ・フォン・シュトゥック(Franz von Stuck,1863-1928)
マックス・クリンガー(Max Klinger, 1857-1920)
クーノ・アミエ(Cuno Amiet, 1868-1961)
ジョヴァンニ・ジャコメッティ(Giovanni Giacometti, 1868-1933)
エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch, 1863-1944)
グスタフ・クリムト(Gustav Klimt, 1862-1918)
※ 分類が違う場合もあります。
象徴主義以外の画家が多く含まれています。
カタカナ表記に関して実際の発音と異なる場合もあります。
人物相関図
★ご利用の注意点★
上の代表画家の相関図です。
青い矢印は師弟関係を表していますが、実際はその関係がはっきりしていなかったり、ワークショップで働いたことがあるだけであったりします。
情報は英語版、フランス語版ウィキペディアを参考に製作しています。
まとめ
かなり簡単な説明となりました。
ご紹介させて頂いた画家たちも、象徴主義に分類される一部の代表的な画家のみとなっております。
象徴主義に限ったことではないのですが、19世紀以降の画家たちを分類するのはとても難しいので、若干おかしい所もあると思いますが、何卒ご容赦ください。
ギュスターヴ・モローについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
パリにあるギュスターヴ・モロー美術館について詳しくご紹介させて頂いております。
次回は西洋絵画史の転換点となる、「フォーヴィスム」と「キュビスム」についてご紹介させて頂きます。
「象徴主義」までのフランス美術史の流れは以下になります。
- 前期ルネサンス:何故ルネサンスは起こったのか?
- 初期ルネサンス:多くの技術革新
- 盛期ルネサンス:ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロによる完成形
- マニエリスム:新たな世界観への挑戦
- バロック・イタリア:劇的なシーンの登場
- 古典主義・フランス:ルイ14世スタイルの誕生
- ロココ・フランス:華やかで優雅なルイ15世スタイル
- 新古典主義・フランス:ナポレオンの台頭、アンピール様式
- ロマン主義・フランス:個人の感情を重視するドラクロワの登場
- ロマン主義・イギリス:イギリス絵画の黄金期
- アカデミック美術・フランス:権威主義、絵画のランク付け
- 写実主義・フランス:バルビゾン派の誕生、戸外での活動
- 印象派・フランス:モネ、ルノワールの登場
- 新印象派・ポスト印象派:ゴーギャンの登場、新時代の幕開け
今回も最後までお読みいただきありがとうございました
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