今回はアメリカにおける現代美術の推移を中心にご紹介させて頂きます。
第二次世界大戦が始まると、多くの芸術家が、ヨーロッパからアメリカ、特にニューヨークに避難しました。
戦争後、ヨーロッパは都市の復興へ力を注がなくてはならなくなり、ドイツの占領下であったパリもその例外ではありませんでした。
そのため、芸術の中心の舞台はパリからニューヨークへと移ることになるのです。
「抽象表現主義」は、第二次世界大戦後のアメリカ、特に1940年代頃からニューヨークで発展しました。
シュルレアリスムからの影響を多く受けています。
「ポップアート」は、1950年代半ばから1960年代後半まで、アメリカとイギリスで起こった芸術運動です。
(アメリカでは1960年代からアンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタインらの有名アーティストの登場により盛んになります)
この運動は、大量生産品や大衆文化のイメージを作品に組み込むことによって、それまでの美術界に挑戦するスタイルです。
「コンセプチュアル・アート」は、作品のコンセプトやアイデアが技術や物質的なものよりも優先されるスタイルです。
この運動の最初の作品と言われているのが、デュシャンの「レディ・メイド」になります。
1960年代から1970年代が活動のピークになります。
Abstract expressionism 抽象表現主義
抽象表現主義は、第二次世界大戦後の1940年代後半から1950年代にかけて、主にニューヨークを中心に発展した美術運動です。具象的な表現を避け、感情や内面性を抽象的な色彩や形態、筆致によって直接的に表現しようとするのが特徴です。
主な特徴:
- 非具象性: 具体的な対象を描写せず、色、線、形そのものが表現の主体となります。
- 感情の直接的な表出: 画家の内面にある感情やエネルギーを、自由で即興的な筆致によってキャンバスに直接的に表現しようとします。
- 大きな画面: 巨大なキャンバスを用いることが多く、観る者を作品の世界に没入させる効果を狙います。
- オールオーバー: 画面全体を均質な密度で覆うような構成が見られます。中心となる焦点を持たないのが特徴です。
- アクション・ペインティングとカラーフィールド・ペインティング: 大きく分けて、激しい筆致や絵具の飛沫を特徴とするアクション・ペインティング(ジャクソン・ポロックなど)と、色面そのものの広がりによって静謐な感情や精神性を表現するカラーフィールド・ペインティング(マーク・ロスコなど)の二つの傾向があります。
Mark Tobey (1890-1976)
マーク・トビーは、20世紀アメリカの画家であり、抽象表現主義の先駆者の一人とされています。彼の作品は、東洋の書道や哲学、特に禅の影響を受けた繊細で瞑想的な抽象表現が特徴です。
主な特徴:
- 「ホワイト・ライティング」: トビーの最も有名なスタイルであり、暗い背景の上に白い細い線が複雑に絡み合う独特の技法です。これは、光、エネルギー、そして都市の喧騒などを表現すると言われています。
- 東洋の影響: 中国の書道や日本の禅の精神に深く影響を受け、筆の運びや空間の捉え方にそれが表れています。1934年には中国と日本を訪れ、禅寺での滞在や書道の研究を行いました。
- 精神性と瞑想: 彼の作品は、単なる抽象表現にとどまらず、精神的な探求や内面的な瞑想を反映していると考えられています。
- 北西派: ワシントン州シアトルを拠点に活動した画家グループ「北西派」の主要メンバーの一人であり、他のメンバーに大きな影響を与えました。

Unknown journey (Voyage inconnu) (1965-66)
抽象的な線やシンボリックな形状が密集し、動的かつ霊的なエネルギーを感じさせます。トビーは、書道や東洋の哲学、瞑想的な状態にインスパイアされ、絵画を通じて無意識的な探求や精神的な旅を表現しようとしました。
Mark Rothko (1903-1970)
マーク・ロスコは、ラトビア出身のアメリカの画家であり、抽象表現主義、特にカラーフィールド・ペインティングの代表的な作家の一人です。彼の作品は、鮮やかな色彩の長方形が画面に配置された、シンプルでありながら強烈な感情を喚起する抽象画で知られています。
主な特徴:
- カラーフィールド・ペインティング: ロスコは、感情や精神性を表現するために、形を単純化し、色彩そのものの力に焦点を当てました。彼の作品は、薄く塗られた色の層が重なり合い、内側から光を放つような独特の質感を持ちます。

N° 14 (Browns over Dark) (1963)
深いブラウン色と暗い背景が重なり合い、色の層が静かに広がっています。
ロスコは、色彩の対比や層を使って感情的な深さや精神的な体験を表現しました。《N° 14》もその一例で、色が視覚的にキャンバス全体に広がり、見る者に強い印象を与えます。
Jean Hélion (1904-1987)
ジャン・エリオンは、フランスの画家であり、初期には幾何学的抽象の主要な推進者でしたが、後に具象的な絵画へと回帰したことで知られています。彼の作風の変化は、20世紀美術における抽象と具象の間のダイナミズムを示す興味深い事例です。
主な特徴:
- 初期の幾何学的抽象: 1930年代には、モンドリアンやデオ・ファン・ドエスブルフらの影響を受け、純粋な形態と色彩による幾何学的抽象絵画を制作しました。彼は、抽象美術の国際的な運動である「アプストラクシオン・クレアシオン(Abstraction-Création)」のメンバーとしても活動しました。
- 具象への回帰: 第二次世界大戦中にドイツ軍の捕虜となり、脱走後の経験が彼の作風に大きな変化をもたらしました。1940年代後半から、日常の事物や人物を、独特のユーモラスで時に風刺的な視点で描く具象絵画へと転換しました。

Composition orthogonale (1930)
《Composition orthogonale(直交構成)》(1930)は、彼が抽象芸術へと傾倒していた初期の時期を代表する作品です。
この作品では、直線と矩形が交差する幾何学的な構成によって、秩序とバランスが強調されています。色彩は抑制されつつも、形のリズムと構造が視覚的に緊張感を生み出しており、ネオ・プラスティシズムやバウハウスの影響が見られます。
Barnett Newman (1905-1970)
バーネット・ニューマンは、アメリカの画家であり、抽象表現主義の中でも特にカラーフィールド・ペインティングの重要な人物の一人です。彼の作品は、広大な単色の色彩の平面と、垂直に走る細い線「ジップ(zip)」によって特徴づけられます。
主な特徴:
- カラーフィールド・ペインティング: ニューマンは、感情や形といった従来の要素を極限まで削ぎ落とし、色彩そのものと画面のスケールによって観る者に直接的な体験を与えることを追求しました。
- 「ジップ」: 彼の作品に頻繁に登場する垂直の線は「ジップ」と呼ばれ、画面を分割すると同時に、色彩の広がりの中で独特の緊張感とリズムを生み出します。この「ジップ」は、人間存在の断片や、宇宙における一条の光といった様々な解釈がなされています。

Not There-Here (Pas là, ici) (1962)
シンプルな構図の中に緊張感と存在感が込められ、縦の線(ジップ)は空間を区切るだけでなく、「ここにいる」という感覚=人間の存在と意識の場を強く意識させます。タイトルの「Not There–Here(あちらではなく、ここ)」は、物理的・精神的な「今ここ」の体験に焦点を当てたニューマンの思想を反映しています。
Jackson Pollock (1912-1956)
ジャクソン・ポロックは、20世紀アメリカの画家であり、抽象表現主義の中でも特にアクション・ペインティングの代表的な人物として知られています。彼の革新的な「ドリッピング」という技法は、絵画の概念を大きく変え、その後の現代美術に多大な影響を与えました。
主な特徴:
- ドリッピング(Dripping): ポロックの最も有名な技法で、キャンバスを床に広げ、筆や棒、缶などを使って絵具を滴らせたり、撒き散らしたりすることで、予測不可能でダイナミックな線と色彩の絡み合いを生み出しました。
- アクション・ペインティング: 彼の制作スタイルは、単に絵具を塗る行為を超え、身体全体を使った激しい動きそのものが表現となる「アクション・ペインティング」の典型とされます。画家の身体性とエネルギーが直接的に作品に反映されるのが特徴です。
- オールオーバーな画面構成: 画面全体に均質な密度で絵具が施され、中心となる焦点を持たない「オールオーバー」な構成も彼の作品の特徴の一つです。

The Deep (La Profondeur) (1953)
《The Deep(ラ・プロフォンドゥール/深淵)》は、彼の晩年に描かれた重要作で、アクション・ペインティングからより内省的な表現へと向かう過程を示しています。
この作品は、黒と白を基調にした抽象的構成で、中央に白い裂け目のような形が広がり、その周囲を黒が包み込むように覆っています。絵具の流れや滲みは依然としてポロックらしいですが、色彩の制限と構図の静けさが、深淵・喪失・内面世界といったテーマを暗示しています。
Ellsworth Kelly (1923-2015)
エルズワース・ケリーは、アメリカの画家、彫刻家、版画家であり、ハードエッジ・ペインティング、カラーフィールド・ペインティング、そしてミニマリズムと関連付けられるアーティストです。彼の作品は、装飾的な要素を排し、線、色、そして形態を強調した、シンプルで力強い抽象表現が特徴です。
主な特徴:
- ハードエッジ・ペインティング: 明確な輪郭線で区切られた、均一で鮮やかな色彩の平面を用いるのが特徴です。筆致や質感といった要素は極力抑えられます。
- カラーフィールド・ペインティング: 大きな色面を画面全体に広げ、色彩そのものの持つ力や、それらが隣り合うことで生まれる効果を探求しました。
- ミニマリズムとの関連: ケリーの作品は、形態の単純さや素材の直接性において、ミニマリズムの先駆的な役割を果たしたとされています。

Dark Blue Panel (Panneau bleu sombre) (1985)
深い青一色のパネルが壁面を静かに占め、形・色・空間の関係に対するケリーの鋭い感覚が表れています。具象性を排し、色そのものの存在感と鑑賞者との直接的な対話を重視するこのアプローチは、ケリーの美学の核心です。
《Dark Blue Panel》は、見る者に空間や知覚の変化を体験させると同時に、シンプルさの中に潜む力強さと詩情を示す一作となっています。
湾曲したエッヂとピンチコーナーが空間を拡張しています。

Black White (Noir Blanc) (1988)
明快な形態と強いコントラストが際立ち、色と形の純粋な視覚的関係がテーマとなっています。黒と白の面が静かに並置されることで、均衡・緊張感・空間意識が生まれ、鑑賞者に繊細な感覚の変化を促します。

Green Relief (Relief vert) (2007)
鮮やかな緑色の有機的な形態が壁から突き出し、見る者の視点や光のあたり方によって印象が変化します。単なる絵画ではなく、建築空間と対話する色と形の存在を創出しています。

White Over Black III (2015)
黒い背景の上に白い形が重なる構造となっており、色の対比と形の配置が生む視覚的なリズムと奥行きが特徴です。タイトルが示す通り、「白が黒の上にある」という単純な構造が、色の存在感や重力感、空間との関係性を強く印象づけます。
「White Over Black III」は、生前最後の作品の一つです。
pop art ポップアート
ポップアートは、1950年代半ばにイギリスで誕生し、1960年代にアメリカで隆盛を迎えた現代美術のムーブメントです。大衆文化や大量消費社会をテーマに、身近なイメージや素材を用いて、従来の芸術の概念を問い直しました。
主な特徴:
- 大衆文化の引用: 漫画、広告、雑誌、映画、テレビ、日用品など、大衆的なイメージやアイコンを作品に取り込みました。
- 鮮やかな色彩と大胆な表現: 明るく、目を引く色彩や、商業デザインのような明快で直接的な表現を用いました。
- 反芸術の精神: 伝統的な美術の価値観や、抽象表現主義のような内面的な表現に対する反発として生まれました。
- 複製技術の利用: シルクスクリーンなどの版画技術を積極的に用い、作品の大量生産や複製を試みました。
- ユーモアとアイロニー: 大衆文化をシニカルな視点から捉えたり、ユーモラスに表現したりする作品も見られます。
Andy Warhol (1928-1987)
アンディ・ウォーホル(Andy Warhol, 1928-1987)は、20世紀アメリカの美術家であり、ポップアートの最も重要な人物の一人です。商業デザイナーとしてのキャリアを経て、大量生産・大量消費社会のイメージを繰り返し用いた作品で世界的な名声を得ました。
主な特徴:
- 大量生産と複製: シルクスクリーンという版画技法を多用し、同じイメージを繰り返し複製することで、芸術のオリジナル性や唯一性といった概念を問い直しました。
- 大衆文化のアイコン: マリリン・モンロー、エルヴィス・プレスリー、毛沢東、キャンベルスープ缶、コカ・コーラの瓶など、大衆文化の象徴的な人物や商品を作品のモチーフとしました。
- 商業主義との融合: 自身のスタジオを「ファクトリー」と名付け、作品を大量生産するスタイルは、芸術と商業主義の境界線を曖昧にしました。
- セレブリティ文化への関心: 有名人の肖像を数多く制作し、現代社会における名声やイメージの役割を探求しました。

Big Electric Chair (Grande chaise électrique) (1967)
誰も座っていない電気椅子が中央に静かに置かれ、その不在と沈黙が逆に見る者に強烈な緊張感や不安を与えます。ポップアート特有のシルクスクリーン技法と、鮮やかで時に毒々しい色使いによって、死刑という重いテーマと大衆的なイメージの軽さが衝突する構造になっています。
1960年代のアメリカでは、死刑論争や死刑に関する抗議運動が行われていました。

Ten Lizes (1963)
シルクスクリーン技法によって複製されたハリウッド女優エリザベス・テイラーの顔は、アイコンとしてのテイラー像を浮かび上がらせつつ、繰り返しの中で個性の消失やイメージの消費を暗示します。印刷のズレや色のムラもそのまま残されており、マスメディア時代の名声の儚さや不安定さを象徴しています。
Jasper Johns (1930- )
ジャスパー・ジョーンズは、アメリカの画家、彫刻家、版画家であり、ロバート・ラウシェンバーグと共にネオ・ダダやポップアートの先駆者として重要な役割を果たしました。
主な特徴:
- 日常的なモチーフの再提示: アメリカ国旗、標的、数字、アルファベット、地図など、誰もが見慣れた日常的な記号や物体を作品の主題としました。これらのモチーフを、本来の意味や文脈から切り離して提示することで、鑑賞者にその見方や認識を問いかけました。
- エンカウスティーク(蝋画法): 溶かした蝋と顔料を混ぜて描く古代の技法であるエンカウスティークを多用し、独特の質感と深みのある画面を作り出しました。

Figure 5 (1960)
《Figure 5》は「5」をモチーフにした作品で、記号・象徴・視覚の意味に対する探求を表す代表作の一つです。
この作品では、「5」の数字が重なり合いながら大きく描かれ、その背後にはストロークや色の層が見え、手作業の痕跡が強調されています。
Erró (1932- )
エッローは、アイスランド出身の画家であり、ポップアートとシュルレアリスムの要素を融合させた、独特で風刺的な作品で知られています。彼の作品は、漫画、広告、政治的なイメージ、歴史的な絵画など、様々な既存のイメージをコラージュのように組み合わせ、過剰でユーモラスな、時に批判的な世界観を構築しています。

Mao à San Marco (1975)
毛沢東の肖像とサン・マルコ広場という二つの異なる文化的・歴史的要素を結びつけた作品です。エロは、この作品で毛沢東という政治的アイコンを取り上げ、彼の肖像をポップアート的なスタイルで再構築しています。
Antonio Henrique Amaral (1935-2015)
アントニオ・エンリケ・アマラルは、ブラジルの画家、版画家、ドローイング作家です。サンパウロで生まれ、シュルレアリスムとポップアートの要素を融合させた作品で知られています。
主な特徴:
- バナナのモチーフ: 彼の最も有名な作品群は、熟したバナナや腐敗したバナナを強烈な色彩と写実的な描写で描いたものです。これらの作品は、豊穣、欲望、腐敗、そしてブラジルの社会や政治状況に対するメタファーとして解釈されています。

O Salvador (Le Sauveur) (1966)
「O Salvador(救世主)」は、当時のブラジルの政治状況、特に1964年に始まった軍事独裁政権下における社会の期待や失望といった感情を反映していると言われています。
Conceptual art コンセプチュアルアート
コンセプチュアルアート(Conceptual art)は、1960年代後半に登場した現代美術の動向で、作品の概念やアイデアそのものが、従来の美術作品の持つ物質的な形態や美的価値よりも重要であると主張します。
主な特徴:
- アイデアの重視: 作品の物理的な表現は二次的なものであり、アーティストが提示するコンセプトやアイデアが作品の本質とされます。
- 言語やテキストの活用: 言葉、文章、図表、指示書などが作品の一部として、あるいは作品そのものとして用いられることがあります。
- 非物質性: 伝統的な絵画や彫刻のような物質的な形態を持たない作品も多く存在します。パフォーマンス、イベント、記録、思考などが作品となり得ます。
- 鑑賞者の思考を喚起: コンセプチュアルアートは、鑑賞者に作品の背後にあるアイデアや概念について考えさせることを目的とします。
- 反芸術の傾向: 従来の美術の価値観や制度に対する批判的な視点を持つ作品も多く見られます。
François Morellet (1926-2016)
フランソワ・モレレは、フランスの前衛芸術家で、幾何学的抽象や光と空間の実験を重視した作品で広く知られています。彼は、計算とランダム性を組み合わせることで、視覚的な秩序と混乱を生み出し、現代美術に新しい視覚的言語を提供しました。
モレレの作品は、直線や格子、点の配置に基づくシンプルな形態にフォーカスし、数学的な原則や規則性を利用して、視覚的な錯覚や動きを引き起こします。彼は、光のインスタレーションやモーターを使った動的なアートにも取り組み、アートと技術の融合を探求しました。

Du jaune au violet (1956)
色彩の変化と幾何学的構造を探求した作品です。この作品では、黄色から紫への色の移行が特徴的で、モレレの関心であった色と形の関係が表現されています。
Bernar Venet (1941- )
ベルナール・ヴネは、フランスの現代美術家であり、コンセプチュアル・アートの初期の重要な人物の一人です。彼は、数学、科学、哲学といった分野の概念を美術に取り込み、特に直線(Straight Lines)、不定の線(Indeterminate Lines)、そして弧(Arcs)といったシンプルな幾何学的要素を用いた大規模な彫刻作品で国際的に知られています。
主な特徴:
- コンセプチュアル・アートの先駆: 1960年代後半には、絵画制作を放棄し、数学や科学の図表、定理、方程式などを直接提示するコンセプチュアルな作品を制作しました。芸術の物質性よりもアイデアを重視する彼の姿勢は、当時の美術界に大きな影響を与えました。
- 数学と科学の導入: 数学的な概念や記号、科学的な図解などを作品に取り込むことで、芸術の領域を拡張し、知的な探求を促しました。

Relief carton (1965)
《Relief carton》では、段ボールの質感や折り目がそのまま視覚的な要素として表現されており、形態が非常にシンプルでありながら、素材の物理的特性がもたらす陰影やテクスチャーが作品の重要な部分となっています。ヴネは、構造の純粋な美しさと素材の素朴さを強調することで、アートにおける素材と形態の対話を探求しています。
まとめ
戦争は人的、経済的被害を多く引き起こしますが、当然芸術の世界にも大きな影響を及ぼします。
ポンピドゥー・センター・コレクションとして沢山の作品をご紹介させて頂きましたが、第一次世界大戦と第二次世界大戦を契機に、思想やスタイルが大きく変わっていることに気が付かれたかと思います。
現代美術に限ったことではありませんが、絵画鑑賞の際、歴史的な背景を想像しながら鑑賞すると、より深く楽しめるのではないでしょうか。
ポンピドゥー・センターの他のコレクションは以下の記事でご紹介させて頂いております。
合わせてご参照ください。
ポンピドゥー・センターにつていの概要は以下の記事で詳しくご紹介させて頂いております。
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