今回ご紹介させて頂く、オルセー美術館コレクションは、リアリズム(仏語:レアリスム Réalisme)の画家たちです。
日本では、写実主義、現実主義と記載されることが多いと思います。
リアリズムの画家たちの中で、最もお勧めしたいのがやはりクールベ。
19世紀フランスにおけるリアリズムの中心的な存在だけでなく、その後の画家たちに多大な影響を与えた画家です。
オルセー美術館には幅5メートルから7メートルもある大作が数点展示されていますので、ぜひ見逃さないように鑑賞してくださいね。
それでは早速ご紹介させて頂きます。
リアリズムとは
リアリズム自体は新しい発想ではなく、視覚的な外観をとらえる自然主義的な発想と考えるとルネサンス期から存在するものです。
(オランダのヤンファンエイク、ピーターブリューゲル、スペインのベラスケスなど多くの有名画家たちもリアリズムに含まれると思います。)
今回ご紹介させて頂いている19世紀のリアリズムは、当時フランスの美術の中心であった、ロマン主義、新古典主義への反発から生まれたものになります。
1848年に、ボードレールの影響を強く受けたクールベが、「リアリズム宣言」を発表します。
その真意は「理想の否定」であり、現実の世界、生活の描写を主題にしました。
(実際にはボードレールが意図していたのもとは違ったようです)
この流れはバルビゾン派の画家を生み出し印象派まで繋がって行きます。
(広義で見れば、印象派までがリアリズムになると思います。)
出典:ウィキペディア リアリズムより引用
Octave Tassaert (1800-1874)
Une famille malheureuse (1849)
アカデミズムの流れを受けていますが、社会的な問題をテーマに作品を描くことが多かった画家です。
アカデミックなジャンルシーンも描いていますが、貧しい人々や不幸な境遇にある人々などを積極的に描きました。
ゴーギャンやゴッホなども影響を受けたと言われています。
Honoré Daumier (1808-1879)
La République (1848)
1848年2月24日に共和国宣言が出され、新しい国の公式イメージを画家に募集しました。
その際に応募したのがこちらの作品です。
最終結果は11位だったそうです。
Les voleurs et l’âne (1858-60)
画家や彫刻、風刺画など様々な分野で活動しました。
リアリズムの画家になります。
作品は Jean de La Fontaineの寓話を下に製作された作品です。
Scène de comédie (1860)
La blanchisseuse (1863)
Don Quichotte et la mule morte (1867)
Gustave Courbet (1819-1877)
L’homme à la ceinture de cuir. Portrait de l’artiste (1845-46)
フランスを代表する画家の一人である、クールベ。
写実主義を代表する画家であり、最初に個展を開いた画家でもあります。
作品は自画像と言われています。
L’homme blessé (1844-54)
クールベの自画像と言われています。
Un enterrement à Ornans (1849-50)
フランス東部の町、オルナンでの葬儀を描いた作品です。
高さ 315.45cm 幅 668cmの大作です。
画面は3つに分かれていて、左側から、教会の人々、男性、女性になっています。
L’Atelier du peintre (1854-55)
クールベのワークショップを描いた作品です。
高さ 361cm 幅 598cmの大作です。
画面は3つに分かれていて、左側が様々な人々がアイテムなどで比喩的に描かれています。(豊かな人や貧しい人、富、貧困、死などを表す)
中央はクールベ自身が描かれています。
右側には芸術関連の友人などが描かれています。
様々な要素が取り入れられており、ここで詳しく解説することは不可能なので、ご興味の湧いてきた方はぜひ色々と調べてみてください。
Portrait de Champfleury (1855)
クールベの崇拝者でもある作家、Champfleury(Jules-François-FélixHusson)の肖像画です。
Le rut du printemps. Combat de cerfs (1861)
高さ 355cm 幅 507cmの大作です。
こちらの作品はGoogleのポリシー違反に該当する可能性があるため掲載を控えさせて頂いております。
Femme nue au chien (1861-62)
クールベの愛人であったLéontine Renaudeを描いた作品と言われています。
こちらの作品はGoogleのポリシー違反に該当する可能性があるため掲載を控えさせて頂いております。
Femme nue couchée (1862)
ゴヤの作品(La Maja desnuda)に影響を受けて描いたと言われています。
第二次世界大戦中にソビエト軍に盗まれて、2000年に市場に出てくるまで行方不明であったそうです。
Le ruisseau noir (1865)
Remise de chevreuils au ruisseau de Plaisir-Fontaine (1866)
フランクフルトへの旅行中に描いた作品と言われています。
こちらの作品はGoogleのポリシー違反に該当する可能性があるため掲載を控えさせて頂いております。
La Source (1868)
La mer orageuse dit aussi La vague (1870)
多くの画家が描いたように、クールベもまたノルマンディー地方を訪れます。
Étretat(エトルタ)滞在中に描いた作品です。
La falaise d’Etretat après l’orage (1870)
この作品も、Étretat(エトルタ)滞在中に描いた作品です。
Jules-Antoine Castagnary (1870)
友人であり、美術評論家でもあったJules-Antoine Castagnaryの肖像画です。
La truite (1873)
Rosa Bonheur (1822-1899)
Labourage nivernais (1849)
ボルドーの画家で、動物画を描いていました。
リアリズムの画家になります。
Alfred Stevens (1823-1906)
Ce qu’on appelle le vagabondage (1854)
ベルギーの画家になりますが、フランスでも活動しました。
両国で大変人気の高い画家です。
リアリズムから印象派に属していると思います。
マネを始めとする印象派の画家と交流がありました。
日本美術に強く影響されました。
肖像画等では、着物を着た作品を多数描いています。
作品はパリの通りでの出来事を描いています。
浮浪者が警察に徒歩で連行される様子です。
1855年の万国博覧会に出品され、この作品を見たナポレオン三世は大変感銘を受け、「このようなことが起きてはならない」と言い、その後実際に浮浪者を連行するときは護送車が利用されるようになったというエピソードがあります。
William Morris Hunt (1824-1879)
Paysanne, La Marguerite (1852)
アメリカの画家です。
Jules Breton (1827-1906)
Le rappel des glaneuses (1859)
農民を初めて描いた画家と言われています。
リアリズムの画家になります。
作品は収穫の様子を表しています。
力強い女性たちが印象的な作品です。
左側では、監督官が収穫の終わりを告げています。
1859年のサロンに出品され、非常に高い評価を得た作品です。
Le soir (1860)
Antoine Vollon (1833-1900)
Armures (1875)
静物画を主に描いた画家です。
ノルマンディー地方に滞在していたため、海に関連する作品も描いています。
Alphonse Legros (1837-1911)
Une amende honorable (1868)
フランス、ディジョンで生まれましたが、1863年からはロンドンに移り活動しました。
リアリズムの画家になります。
Carolus-Duran (1837-1917)
Le convalescent (1860)
アカデミズムの下で修業したカロリュス・デュラン。
フランソワ・スションの弟子になります。
マネやロートレックとも友人であり、様々な影響を受けています。
肖像画を多く描いていて、注文を受けて製作するものは古典的な手法で描いていました。
(個人的に描くものは自由に描いていたようです。)
リアリズムであり、写実主義になると思います。
まとめ
いかがでしたか。
クールベはもちろん、スティーブンスやブルトンも見ごたえのある作品だったと思います。
基本的に、予備知識がなくても十分に楽しめますが、作品によっては何のシーンを描いているのか少し知識があると、より楽しめると思います。
バルビゾン派の画家たちは別の記事でご紹介させて頂いているのでこの記事には載せておりませんが、バルビゾン派の画家もリアリズムに分類されます。
また広義の意味では、マネやドガ、そして印象派もリアリズムの画家になります。
この辺りの分類は記事の都合上、より分かりやすくお伝えするために分類しているので、正確ではない部分も多々あると思いますので、予めご了承ください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
なお作品の解釈については、オルセー美術館公式ページを参考にさせて頂いております。
お時間のある方は合わせてご覧になってみてください。
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