オルセー美術館印象派コレクション、第2弾。
今回は、ピサロを中心に、モリゾやカイユボットなどの作品をご紹介させて頂きます。
なお、印象派についての説明や、シスレー、モネ、ルノワールの作品はこちらでご紹介させて頂いております。
合わせてご覧になってください。
Johan Barthold Jongkind (1819-1891)
La Seine et Notre-Dame de Paris (1864)
印象派の先駆者的存在、オランダの画家、ヨハン・ヨンキント。
モネに多大な影響を与えたことでも知られています。
印象派展には参加していません。
Eugène Boudin (1824-1898)
La plage de Trouville (1867)
印象派の先駆者として考えられているブーダン。
海洋画家としても名高く、また戸外で活動した最初の画家の一人と言われています。
作品はトルヴィルの海岸の景色ですが、海をほとんど描かない視点が独特の構図になっています。
第1回印象派展に参加しています。
Baigneurs sur la plage de Trouville (1869)
Camille Pissarro (1830-1903)
Allée de la Tour-du-Jongleur et maison de M. Musy, Louveciennes (1869)
印象派を代表する画家の一人であるピサロ。
セザンヌやゴーギャンの師としても有名です。
また新印象派の画家たちとも交流を持っていて、1880年ごろから画風が変わりますが、新印象派の描き方、点描画は時間と体力の関係で放棄してしまいます。
Le chalet, la Maison Rose (1870)
Les coteaux du Vesinet (1871)
La Seine à Port-Marly, le lavoir (1872)
Gelée blanche (1873)
ピサロが第1回印象派展に出品した作品の一つです。
ポントワーズ近郊で描かれた作品です。
Coteau de l’Hermitage, Pontoise (1873) 上段
Les toits rouges, coin de village, effet d’hiver (1877) 下段
Pontoise(ポントワーズ)で描かれたこれらの作品は、セザンヌと一緒に過ごした時期であり、お互いに影響しあって作品を描いています。
Chemin sous bois, en été (1877)
Le Port-Marlyのセーヌ川を描いています。
Jardin potager à l’Hermitage. Pontoise (1879)
ポントワーズでの作品です。
La bergère (1881)
新印象派時代の作品です。
画風がかなり変化しています。
Bergère rentrant des moutons (1886)
Paysage à Chaponval (1880) 上段
Femme dans un clos, soleil de printemps dans le pré à Eragny (1887) 下段
Femme au fichu vert (1893)
Eglise de Knocke (1894)
Port de Rouen, Saint-Sever (1896)
Paysage à Eragny (1897)
パリから北西方向にある郊外の街エラニーを描いています。
Soleil du matin, automne (1897)
Dieppe, bassin Duquesne. Marée basse, soleil, matin (1902)
Berthe Morisot (1841-1895)
Le berceau (1872)
印象派、3大女性画家の一人であるモリゾ。
コローの弟子であり、マネのモデルを務め、マネの弟と結婚しました。
パリのマルモッタン美術館には、モリゾの作品が80点ほど展示されています。
作品は、モリゾを代表する作品の一つで、姉エドマが、娘の眠りを見守っているシーンです。
Chasse aux papillons (1874)
作品は、モリゾの姉である、Edma Morisotと2人の娘、Jeanne と Blancheが描かれています。
Dans les blés (1875)
Frédéric Bazille (1841-1870)
La robe rose (1864)
作品は伝統的な部分が残りますが、印象派を代表する画家になります。
普仏戦争で戦死してしまうことが、印象派のグループにも大きな影響を与えました。
L’ambulance improvisée (1865)
作品は、足を怪我したモネが描かれています。
Forêt de Fontainebleau (1865)
フォンテーヌブローの森を描いています。
L’atelier de Bazille (1870)
作品は、ルノワールと共有していたスタジオの風景です。
パレットを持っているのがバジールで、キャンパスの前で帽子をかぶっているのがマネになります。
壁にはマネの作品などが飾られています。
Mary Stevenson Cassatt (1844-1926)
Jeune fille au jardin (1880-82)
アメリカ生まれの女性画家、メアリー・カサット。
女性印象派、3大画家の一人です。
ドガの影響を大きく受けています。
Gustave Caillebotte (1848-1894)
印象派の画家としても大変有名なカイユボットですが、印象派の画家を支援したパトロンとしても知られています。
セザンヌ、ドガ、モネ、シスレー、ピサロ、ルノワールなど多数の作品を所持していました。
カイユボットの遺産が、国立美術館の印象派カテゴリーを作り、最終的にはオルセー美術館に展示されていることを考えると、美術史に多大なる貢献をした画家と言えます。
カイユボットはセーリングに没頭していて、ヨットを自ら設計し、実際に完成させていました。
彼の作品に海辺やヨットを描いたシーンが多いのはそのためです。
その他にも、切手や園芸などかなりの多趣味であったと言われています。
Les raboteurs de parquet (1875)
都市の労働者を描いた作品です。
床にかんなをかけるシーンを描いていますが、同じ主題で別の作品も描いています。
Vue de toits (effet de neige) (1878)
1879年の第4回印象派展に出品した作品です。
ボートのシーンや肖像画も良いですが、パリを描いたカイユボットの作品はとても魅力的です。
Au café (1880)
Arbre en fleurs (1882)
Henri Cordier (1883)
歴史家、東洋学者、特に中国に詳しかった、Henri Cordier (1849-1925)の肖像画です。
Portrait de Jean Daurelle (1885)
Portrait de Jean Daurelle en pied (1887)
Voiliers à Argenteuil (1888)
アルジャントゥイユで描いた作品です。
Portrait de l’artiste (1892)
カイユボットの自画像になります。
Jean-François Raffaëlli (1850-1924)
Chiffonnier allumant sa pipe (1884)
ドガの友人であったラファエリ。
第6回と第7回の印象派展に出品しますが、モネ、ゴーギャン、カイユボットの要請により印象派のグループからは除外されてしまいました。
作品は、企画展に展示されていました。
所蔵はナント美術館になります。
まとめ
印象派と一言でまとめてしまうと、同じような画風を想像してしまいまが、印象派の画家たちは、それまでアカデミズムの決まりきった表現手法から自由な表現を求めて集まった画家たちなので、それぞれ個性があり、とても楽しめると思います。
今回ご紹介させて頂いた画家は、作品の素晴らしさだけでなく、美術史の中でも大きな役割を担っています。
ヨンキントとブーダンは、印象派の先駆者的存在であり、印象派の画家たちに大きな影響を与えています。
ピサロは印象派創立メンバーとしての役割だけでなく、新印象派、ポスト印象派へと次の世代に影響を与えています。
モリゾは、マネのモデルを務めたおかげでマネの創造力を掻き立て、多くの素晴らしい作品を残すことにも貢献しています。
バジールの不幸な死は、印象派を弱体化させる原因の一つになり、カサットはアメリカに印象派を広める一翼を担っています。
カイユボットは印象派を支え、彼のコレクションがあったからこそ、私たちがオルセー美術館で様々な作品を鑑賞することを可能にさせてくれました。
ラファエリは後期の印象派に作品を提供し、アメリカに芸術を広めました。
そんな歴史的な側面から作品を鑑賞してみるとまた一段と楽しみが増えるかもしれません。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
なお作品の解釈については、オルセー美術館公式ページを参考にさせて頂いております。
お時間のある方は合わせてご覧になってみてください。
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