今回は、第2次世界対戦以降の芸術運動に焦点を当てていきます。
戦争が芸術運動に与えた影響は大きく、特にドイツの占領下になったパリでは様々な運動が展開されていきます。
「アンフォルメル」は1940年代半ばから、フランスを中心に起こった運動です。
第2次世界対戦の影響もあり、人間自体を否定するような激しい抽象絵画です。
「タシスム」はフランス語の「染み」が由来となる様式の一つで、アンフォルメルの一部でもあります。
叙情的抽象も流れの一部として捉えることも出来ます。
これら2つの様式には、マチューが大きく関与しています。
「コブラ」は、1948年に誕生しました。
西洋の芸術様式に影響を受けていない、原始の文化や東洋の書道、民族芸術などにモデルを求めていました。
活動は1951年に終了してしまいますが、その後の芸術運動に大きな影響を与えています。
「ヌーヴォー・レアリスム」は、一般的には1960年、Pierre Restany(ピエール・レスタニ)とYves Klein(イヴ・クライン)がフランスで結成したグループと言われています。
(運動自体は、1948年頃から始まっていました。)
イヴ・クラインが1962年に亡くなると、運動は収束してしまいます。
ヌーヴォー・レアリスムをポップアートと同じように考えることもあります。
Art informel アンフォルメル
Jean Dubuffet (1901-1985)
Michel Tapié soleil (1946)
ジャン・デュビュッフェは、フォートリエ、ヴォルスと共に、アンフォルメルの先駆者と見なされています。
Wols (1913-1951)
Aile de papillon (1947)
1940年代から1950年代にかけてフランスを中心に激しい抽象絵画を描いたグループ、「アンフォルメル」の中心的な画家として活動したヴォルス。
ただし本人は特定のグループに属して活動することはありませんでした。
Pierre Soulages (1919-2022)
Peinture 200 x 220 cm, 22 avril 2002
フランスの画家になります。
アンフォルメルに参加していました。
ZAO Wou-Ki (1920-2013)
18.10.59 – 15.02.60 (1959-60)
水墨画の伝統を活かしつつ、抽象画を描いた中国の画家、ザオ・ウーキー。
アンフォルメルの影響を受けて、1951年頃から抽象画を描くようになります。
04.05.64 (1964)
Tachisme タシスム
Jean Fautrier (1898-1964)
L’écorché (1944)
ジャン・フォートリエは、タシスムの画家として最も重要な画家の一人と言われています。
タシスムはアンフォルメルの流れの中の一部として考えられる場合もあります。
Femme douce (1946)
Hans Hartung (1904-1989)
T 1956-14 (1956)
1940年代から1950年代のフランス抽象絵画のひとつの形式である「タシスム(Tachisme)」の画家であるハンス・ハルトゥング。
筆の先端や側面によって残さる様々な痕跡を利用して特殊な図面を描いていました。
Jean Messagier (1920-99)
Accès à l’été (1957)
キュビスムからタシスムなど、様々なスタイルで作品を製作しました。
La Conquête de la Franche-Comté par le mois de juin (1969)
Lyrical abstraction 叙情的抽象
Georges Mathieu (1921-2012)
Hommage au maréchal de Turenne (1952)
Lyrical abstraction(叙情的な抽象化の概念)の創設者の一人と考えられています。
マチューの作品はタシスムを代表するものでもあります。
Jean Degottex (1918-1988)
Ecriture (1963)
フランスの抽象画家になります。
Pierre Alechinsky (1927- )
Sous le feu (1967)
ピエール・アレシンスキーはベルギーの現代美術を代表する画家になります。
書道の影響を受け、抽象と具象が入り混じった独自の作風で描いています。
Frédéric Benrath (1930-2007)
Les Correspondances (1956)
フランスの画家であるフレデリック・ベンラスは、抽象的な風景画を多く描きました。
その風景は現実世界のものではなく、精神的な世界を描いています。
「Nuagisme」の画家としても知られています。
CoBrA コブラ
Svavar Gudnason (1909-1988)
Griman (1949)
アイスランドの画家であり、CoBrA運動に参加していました。
Carl-Henning Pedersen (1913-2007)
Gul kvinde ved havet (Femme jaune au bord de la mer) (1949)
20世紀後半のデンマークを代表する画家の一人であり、CoBrA運動の主要メンバーでした。
Asger Jorn (1914-1973)
Tête de turc (1967)
アスガー ヨルンはデンマークの画家であり、CoBrA運動また「シチュアシオニスト・インターナショナル」の創設者の一人になります。
Constant Nieuwenhuys (1920-2005)
L’animal sorcier (1949)
Constantととして良く知られているオランダの画家になります。
CoBrA運動の創設者の一人になります。
Karel Appel (1921-2006)
La Promenade (1950)
CoBrA運動、アンフォルメルなどに参加したオランダの画家になります。
抽象画にとどまらず、カラフルで立体的な作品も製作しました。
Egill Jacobsen (1910-1998)
Maskedans i Brunt (Danse des masques, marron) (1943)
エギル・ヤコブセンはデンマークの画家であり、民族芸術に影響を受けました。
仮面をモチーフにした作品を多く製作しています。
Maske (Masque) 1936
Nouveau Réalisme ヌーヴォー・レアリスム
Mimmo Rotella (1918-2006)
Avventuroso (1961)
ミンモ・ロテラはイタリアの芸術家であり、ヌーヴォー・レアリスム(Nouveau Réalisme)に参加していました。(署名はしていません)
Jacques Villeglé (1926-2022)
ABC (1959)
ジャック・ヴィルグレは、ポスターアートを多く手掛けています。
手法としてはポスターを重ね合わせ、一番上のポスターを破いたりすることにより、下のポスターを露出させていました。
ヌーヴォー・レアリスム(Nouveau Réalisme)に参加しています。
Arman (1928-2005)
Chopin’s Waterloo (1962)
アルマンはフランスの芸術家で、日常生活の複製品や廃棄物を使った作品を多く製作しました。
ヌーヴォー・レアリスム(Nouveau Réalisme)に参加しています。
楽器を使った作品を数多く製作しているのは、チェロ演奏者の父親とキュビスムの影響と言われています。
Martial Raysse (1936- )
Tableau métallique : portrait à géométrie convexe (1964)
マルシャル・レイスは、ヌーヴォー・レアリスム(Nouveau Réalisme)に参加した芸術家になります。
Gérard Deschamps (1937- )
Les Chiffons de La Châtre – Corsets roses (1960)
ジェラール・デシャンは、ヌーヴォー・レアリスム(Nouveau Réalisme)に参加した芸術家になります。
抽象絵画に布地を取り入れた画家でもあります。
まとめ
どの運動も名前こそ違いますが、第2次世界対戦後の世界で、新しい芸術スタイルを模索する画家たちの苦悩が見受けられると思います。
当時の社会情勢を思い浮かべながら鑑賞すると、また違った楽しみが感じられるのではないでしょうか。
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