今回ご紹介させて頂くのは、「ダダイズム」。
ついに芸術理論は「無意識」の領域に突入します。
人物相関図は、前後の時代と重複している部分もありますので、前後の記事を合わせてご覧いただけると、より分かりやすくなると思います。
それでは早速ご紹介させて頂きます。
ダダイズム Dadaïsme
ダダイズムとは
「ダダ」の由来は、リヒャルト・ヒュルゼンベック(ドイツの作家)がペーパーナイフを辞書にランダムに入れた時に、馬のおもちゃの俗称である「ダダ」を指したからと言われています。
(諸説あります)
「ダダ」の名前が広がり始めるのは、トリスタン・ツァラ(フランスの詩人)が提唱した「ダダ宣言」(1916年)が最初であると言われています。
ダダの理論は、チューリッヒ、ニューヨーク、ベルリン、パリなどを中心に各国で起きました。
運動は絵画にとどまらず様々な分野に影響を与えました。
ダダの特徴は、それまでの芸術の否定です。
人間の理性の否定、美学の無視にあり、つまり、意識的に制作したものに価値を置かず、偶然性を追求して作品を仕上げる所にありました。
ダダに限ったことではありませんが、第一次世界大戦の影響は当時の芸術界に大きな影響を与えています。
出典:ウィキペディア Dada
活動期間
1915年頃~1922年頃まで
年表
1914年、第一次世界大戦勃発
1916年、ツァラによる「ダダ宣言」
1918年、ツァラによる2回目の「ダダ宣言」が出版
代表画家
フランシス・ピカビア(Francis Picabia,1879-1953)
ジャン・アルプ(Jean Arp, 1886-1966)
マックス・エルンスト(Max Ernst, 1891-1976)
マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp, 1887-1968)
カミーユ・ブライエン(Camille Bryen, 1907-1977)
マン・レイ(Man Ray,1890-1976)
アルフレッド・スティーグリッツ(Alfred Stieglitz, 1864-1946)
ジョルジョ・デ・キリコ(Giorgio de Chirico, 1888-1978)
カルロ・カッラ(Carlo Carrà, 1881-1966)
ジョルジョ・モランディ(Giorgio Morandi, 1890-1964)
ハンス・リヒター(Hans Richter, 1888-1976)
ラウル・ハウスマン (Raoul Hausmann, 1886-1971)
ジョン・ハートフィールド(John Heartfield, 1891-1968)
ジョージ・グロス(George Grosz, 1893-1959)
※ 分類が違う場合もあります。
ダダイズム以外の画家が多く含まれています。
カタカナ表記に関して実際の発音と異なる場合もあります。
人物相関図
★ご利用の注意点★
上の代表画家の相関図です。
青い矢印は師弟関係を表していますが、実際はその関係がはっきりしていなかったり、ワークショップで働いたことがあるだけであったりします。
情報は英語版、フランス語版ウィキペディアを参考に製作しています。
まとめ
「未来派」、「キュビスム」、「表現主義」などの理論を取り入れつつ、新しい可能性を模索した「ダダイズム」でしたが、作品は難解を通り越してよく分からないものになってしまいました。
「ダダイズム」は、結局はそれまでの芸術の破壊であり、破壊することにより注目を集めていました。
但し、当然破壊だけでは何かを生み出すことは出来ず、短い期間で終焉を迎えます。
この「ダダイズム」の問題を解決するために生まれた新しい運動が、次回ご紹介させて頂く、「シュルレアリスム」です。
「ダダイズム」と「シュルレアリスム」は、一つのセットとして考えて頂くと、少しは分かりやすくなると思いますので、ぜひ次回の記事も合わせてご覧になって見てください。
また、以下の記事では実際の作品をとおして、ダダイズムとシュルレアリスムを比較することが出来ます。
「ダダイズム」までのフランスを中心とした美術史の流れは以下になります。
- 前期ルネサンス:何故ルネサンスは起こったのか?
- 初期ルネサンス:多くの技術革新
- 盛期ルネサンス:ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロによる完成形
- マニエリスム:新たな世界観への挑戦
- バロック・イタリア:劇的なシーンの登場
- 古典主義・フランス:ルイ14世スタイルの誕生
- ロココ・フランス:華やかで優雅なルイ15世スタイル
- 新古典主義・フランス:ナポレオンの台頭、アンピール様式
- ロマン主義・フランス:個人の感情を重視するドラクロワの登場
- ロマン主義・イギリス:イギリス絵画の黄金期
- アカデミック美術・フランス:権威主義、絵画のランク付け
- 写実主義・フランス:バルビゾン派の誕生、戸外での活動
- 印象派・フランス:モネ、ルノワールの登場
- 新印象派・ポスト印象派:ゴーギャンの登場、新時代の幕開け
- 象徴主義:人間の内面の表現
- フォーヴィスム・キュピズム:西洋絵画史の転換点、ピカソの登場
- 表現主義:前衛芸術の誕生
- アール・ヌーヴォー:究極の曲線美
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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